第5話 想い出
「美雪さん、今日はありがとう。楽しかったよ」
理由はどうあれ、女の子との時間を過ごせた。
青春のいい思い出ができた。
もう、彼女と遊ぶ事はないだろうが、手紙のやりとりはしたい。
「うん、こちらこそありがとう・・・って、待てい」
美雪さんは、僕の手首を掴む。
「どうしたの?忘れ物?」
「まだ、デートは終わってないよ」
デートだったのか・・・
「で、次はどこへ行くの?」
「まずは、ホテルでお泊まりします」
それは、まずい。
さすがに、まずい。
「そして、明日の早朝に、バスツアーで出かけます」
「どこへ?」
「牧場」
何をいいだすんだ?美雪さんは・・・
「そんなの、友達と行きなよ」
「思春期の女の子の外泊は、親が許してくれない」
いつの時代だ・・・
「なら、彼氏といきなよ」
「いたら、今日は君を誘ってない」
「もてそうなのに」
「そうでもないよ」
観念するしかないのか?
いや待て、やはり断ろう。
「ごめん。さすがにそれは・・・」
「断るんだね。君は・・・」
「うん」
「じゃあ、私にも考えがあるから・・・」
「考え?」
うわーん
いきなり泣き出した。
涙は女の武器というが、僕にまで使うか?
周りの視線が突き刺さる。
「わかったよ。付き合います」
「ありがとう」
やはり泣きまねだったか・・・
でも、女の子の武器は、涙でなく笑顔だな。
相手にもよるが・・・
「で、ホテルはどこに泊まるの?予約してるの?」
「もちろん」
「どこ?」
「あそこ」
美雪さんは指差す。
そこは、受験生がよく泊まるホテルだ。
まあ、妥当だろう。
「で、部屋は別だよね?」
「同じ」
「お金ない」
「もう、払ってる」
「最初から、連れまわす気だった?」
「うん」
あっさり、認めた。
「でも、何で?」
「さっきも言ってでしょ!」
「えっ?」
【私は、ひとりでも多くの子と、思い出を作っておきたいの!】
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