第4話  焼き肉?

「さあ、冬樹くん、焼き肉よ。食べ放題だから遠慮しないで食べてね」

「あのう、美雪さん」

「何?お金ならいいわよ。ここは、無料招待券だから」

「そうじゃなくて」

「人の眼なんて気にしないの。私はみんなと仲良くなっておきたいんだから」

この時の美雪さんの言葉の意味は、後にわかるのだが・・・


「だから、美雪さん」

「何?」

「これ、焼き肉ではなく、焼き鳥」

「牛も豚も鶏も、同じ肉でしょ?気にしない気にしない」

「でも・・・」

「何?君は牛と鶏を差別するの?いけないよ」

だめだ・・・こりゃ・・・


「おじさん、もも、塩でお願い。あと、ウーロン茶ふたつ」

「はいよ」

「慣れてるね。何回目?」

「10回目かな」

「その10回は誰と来たの?」

美雪さんは、指折り数えて名前を挙げる。


全員違っていた。

ひとりとして、かぶっていない。


しかも、僕を含めて男女同数。

おまけに必ず、ふたりきりだ・・・


僕も彼女も、炭酸もココアも飲めない。

その点でも、趣味があった。


「他の人たちとは、どうしてたの?」

「不思議がってたよ。君だけ」

「何が?」

「好みが合うの」

「・・・そう・・・」


彼女の注文により、どんどん運ばれてくる。

彼女はとても、スレンダー。

(でも、胸はDはあるとおもう・・・

着太りしているのかもしれないが・・・)


「ねえ、君は何座?」

「僕に訊いてるの?」

「他に?」

「双子座だけど・・・」

「私は天秤座、相性合うね」

そうなのか?

星占いはわからん。


「何型?」

「O型だけど」

「私は、B型。相性合うね」

そうなのか?

血液型は、なおわからん。


会話は最高のおかずなのか?

あっという間に食べきった。


殆ど彼女だが・・・


「男の子なんだから、もっと食べなさい」

「ヘイヘイ」

「ヘイ?」

「はい、はい、はい」

「返事は一回」

「はーーーーーーーい」

「伸ばさない」

「はい」

「よろしい」

昔よく言われたな。


「ねえ」

「何?」

「君は、かわいい系だね。肉食女子にもてるよ」

そうなのか・・・


確かに、草食女子では、僕の彼女は務まらない。

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