第3話 コーディネート

「あら、美雪ちゃん、いらっしゃい」

「お姉ちゃん、こんにちは」

お姉ちゃん?たしかこの子は、一人っ子のはずでは?


「いとこの、ゆう姉ちゃん。この店で働いてるんだよ。

服装のプロなんだ」

あっ、そういうこと・・・


「美雪ちゃん、その男の子は彼氏?」

「うん。素敵でしょ」

ちょっとまて、いつから彼氏になった。


たちの悪い冗談は、止めて欲しい。


ゆう姉ちゃんと呼ばれた女性の方は、僕をまじまじと見る。

「うん。イケメンじゃないし、頼りなさそうだけど、優しそうだね。

ギリギリ合格」

「よかったね。冬樹くん」

何がだ?


て、何のテストだ。

いくらなんでも、失礼だろ?


「彼の服、私が見てあげるんだ」

「そうなの?君、よかったね。美雪ちゃんはセンスいいよ」

「そりゃ、どうも・・・」


こうして、服をコーディネートしてもらう。


「冬樹くんは、Mサイズだよね?」

「うん」

美雪さんは、Mサイズの服とズボンを用意してくるが・・・


「あれ?小さい、Mでいいよね?」

「うん」

「ゆう姉ちゃん」

美雪さんは、いとこの店員さんを呼んでいる。


何やら話している。


「ごめん。冬樹くん。ここの服はMサイズでも、普通より小さいんだって」

「そうなの?」

「だから、大き目にLL持ってくるね」

「LLですか?」

僕は、がりがりにやせているのだが・・・


「うん、ぴったり。これでいこう」

「もう、決まりなの?」

「ほら、なかなか決まってるでしょ?」

緑が基調の服だ。

ズボンは紺。


緑は、僕のラッキーカラー。

美雪さんはそれを、知っていたのか?


「じゃあ、お姉ちゃん。これで」

「はい。3万円です」

高い。


「はい。3万円。税込だよね?」

「うん。」

僕は思わず口をはさむ。


「さすがにそれは・・・」

「いいの、いいの」

いいって・・・


後ろから、彼女のいとこのゆう姉ちゃんの声がする。


「デートがんばって!」

美雪さんは、大きく手を振っていた。


「さあ、焼き肉だよ。たくさん食べよ」

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