ナンバーワンキャバ嬢、江戸時代の花魁と体が入れ替わったので、江戸でもナンバーワンを目指してみる~歴女で元ヤンは無敵です~【書籍化:江戸の花魁と入れ替わったので、花街の頂点を目指してみる1~3巻】
七沢ゆきの@11月新刊発売
第1話 もしかして:吉原
「山吹どん、山吹どん、何がありんした。姉さんに何かありゃあ、わっちらもただじゃあすみんせん」
え……え……なに……?
「
大声に驚いて目を開けたら目の前に日本人形が二体いました。
ちょっと待ってなにこれ。うちのキャバクラの和服イベントは先月終わったはずだけど?!
「ああよぅござんした。山吹どん、馴染への
「あい、桜姉さん。わっちら、山吹どんのお引き立てがのぅござんせば、この身どうなるともわかりんせんからなぁ」
え、もしかして日本人形が喋ってるのはマジモンのありんす言葉?!
これ店のイベントじゃないの?!
日本人形二人が畳の上に寝てたあたしの体をうんしょと声をかけて起こす。
……体、重てぇー!!!頭も重てぇー!!!
しかもあたしまで日本人形になってるー!!!
「山吹どん、倒れてお
「梅は器用で羨ましんす」
「おいらは桜ほどの器量がありんせんから……技で身を立てる女郎になりんすえ」
日本人形の小さな手がぺたぺたぐいぐい髪をいじくる。
それをにこにこ笑いながら見てるもう一体の日本人形。
それより!それより!誰かあたしにこの状況を説明してー!!!
※※※
あたしは
職業は和風キャバクラ『大奥』のナンバーワンの山吹。
山吹なんてだっせー名前だと思うけどここの店の源氏名はみんな古典花の名前だからしゃーない。
あたしのオヤジは下っ端ヤクザでチンケな抗争で死んで、母さんもあたしを大学に行かせるために働きすぎて死んで……だからあたしは母さんのためにも勉強しまくったよ。いい大学に入って主席で卒業。オヤジの血のせいで高校まではヤンキーの番を張りながらね。
でも……いくら学歴で箔をつけても、オヤジも母親も保証人もいない、その上オヤジが抗争で死んだヤクザの娘なんか、母さんが望んでたまともで大きな会社じゃ相手にしてもらえなかった。
母さんが命を懸けてまであたしにやってくれたことは無駄だったんだ。
あたしは泣いて、それから決めた。
キャバ嬢になって、金と人脈貯め込んで、史学の勉強できる大学院に行き直して、なりたかった推したちの研究者になってやる。
日本の史学極めてやる!元ヤン歴女舐めんなよ!ってね。
でもマジで江戸時代に来れちゃうなんて……!
あああああ!!!推しのあの方と同じ時代とかアリよりのアリでお願いします!
ってその前に。
今のあたしの状況を把握しないと。
ありんす言葉を話してるならここは江戸の吉原。
目の前にいる日本人形二人はたぶん遊女見習いの
それで、禿を二人つけられてるあたしは……あたしが習ったことが間違ってなきゃ超人気の花魁か太夫!!!
え?マ?すげくね?!すげくね?!歌舞伎町ナンバーワンよりすげいし!
と、これから来る苦難も知らずにあたしは訳の分からないテンションになっていた。
<注>
マ:マジの略です。ギャル言葉です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます