おれの上司


おれの上司は頭蓋骨の中にいる

けして逆らえない

命令をしてくる

それに対して特に歯向かうこともない

だってそいつは自分自身でもあるのだから

「パンを噛めっ、それも凄く野蛮に」

ええ

おれはただ黙ってパンを噛みちぎる

パン屑をそこら中に飛び散らかせながら

『やばめ先輩』

そのようなあだ名を新入社員に付けられた

だが新入社員と上司どちらの意見を尊重するのかは明白だ

「パンを噛み終わりましたあっ」

おれは脳に報告した

もちろん敬礼もする

脳………

(本当にそんなものがそこに収まっているのだろうか?)

少しだけ疑いながら

一度も外の世界の光を浴びたことのない上司


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