今、現在の話しで言うと

そいつらはまだ精子と卵子にもなっていないのだろうが

そいつらが

やがてこの世界を覆い尽くすのだ

不思議なものだよな

おそらくその世界には老人になったおれもいて

困惑しながらも

積み上げてきたものを破壊させられるのだろう

「土星人クッキー」

出張から帰って来た息子にそう言われ

おみやげを受け取るのだろう

「これは内緒なんだけどね」

息子は土星人の密輸の仕事に関わっているのだ

「一匹だけならいいってさ」

本物なのだ

土星人は愉快な変化を強要されて泣き出した

「パパあ、この土星人ちゃん、一体どうしたのお？」

孫に訊かれて息子はこう答える

「笑っているんだよ、これは」

この星ではかつてないほど死姦が流行するだろう

お手軽、感覚

政府、推奨のエコ活動

もちろん死姦なんてするべきではないと主張する者も中にはいる

その大半が老人だ

時代の流れについていけなくなったみっともない連中

夏はやっぱり死姦！

これに限るね

その考えがここ数年ですっかり根付いた感がある

気付けばおれたちは近未来を生きているのだ

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