断言
言い切るのは
やめにしないか
通り魔がいて
そいつに殺された人達は
みんながみんな優しい人ではなかった
そういうことさ
中には殺されて良かった人だって
絶対にいたはずなんだ
断言するのは
やめにしないか
わたしはこのあいだ
テレビのドキュメントを観た
それは違法薬物の蔓延に関する特集だった
かつて自らが手を染めてしまった違法薬物の恐ろしさを
演劇を通じて表現しようとしている人が特集されていた
その人は各地の学校や施設を訪れて
ボランティア活動をしているのだ
テレビはその人が舞台上で薬物中毒者を演じるシーンへと切り替わった
真に迫った表情で「虫が見えるうう!」などと叫ぶ姿は画面越しとはいえ確かにぞっとさせられた
会場から出て来た若い学生さんたちはカメラを前にして感想を述べた
「薬物の恐ろしさがわかりました」
「絶対に手を出してはいけないものだと感じました」
「今までなんとなく駄目だって思っていたけど本当の怖さがわかった気がしました」
だがおれは全然、違うことを考えていた
例えばこの人の活動がきっかけになって
今まで、あるいはこれから薬物への道から救い出される人がいたとしたら
この人は薬物をやって良かったのだろうか?
と
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