不可避


闇の中で

形状が変わり始めた

そいつは

丸かった

触ると少しぬるぬるしていた

名前は人によって呼び方が違った

まだ誰も気付いていなかった

そいつが腐り始めているということに

だがもうすぐ嫌な臭気を発して

否が応でも目を背けたい真実を露わにするだろう

全てが手遅れになってようやく気付くだろう

悪夢は既に準備を終えその幕が上がっていたのだということを

いま

わたしたちは微笑むことが可能だったが

これから泣き叫ぶことは不可避


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