ウクレレ愛好家の悲劇


挨拶代わりに

お前の一番、大切にしているウクレレを叩き壊すことにした

それはお前が世界一、大切にしているウクレレだった

「嫁は二番!」

常々、そう公言していた

そのようなウクレレを木端微塵に叩き壊すことに決めたのだ

アスファルトに叩きつけた

派手な音を立て首がへし折れた

ざまあ

おれにはウクレレを大切にする奴の気持ちなんて全く理解、出来なかったしする気も無かった

だから何の躊躇いも無く叩き壊すことが可能だった

でっかい洋梨みたいな形状のそいつを衝動のままにぶっ壊した

目の前のウクレレ愛好家の中年は哀しみのあまり目の端に涙をいっぱいに浮かべた

「娘のバージンが奪われた時、以来のショックですわ」

そのような感想を漏らした

「へえ」

おれは珍獣でも見るかのようにそれを眺めた


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