花の咲く丘


きれいな花が

風に揺れていた

優しい風さ

それ以上の衝撃には

きっと耐えられないのさ

そのか細い首では

丘の上では

お猿さんたちが行進していた

猿ではない

微妙に違う

お猿さんだ

そういった生き物たちが闊歩していた

運悪くお猿さんたちの視界にきれいな花が入り込んでしまった

「あーあ」

願わくはただ黙って通り過ぎることを祈った

だがそんなわけがないのだ

きれいな花が視界に入った瞬間、お猿さんたちは一斉にこんなことを思った

邪魔ですっ

それから起こることはだいたい想像がついた

花は抵抗しない

ただ受け入れるだけ

この世界の理不尽の全てを


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