すっきり


昼食でサンドイッチに猿を挟んで食べることにした

「キキャア!」

しかも生きている奴をだ

食事、それはフレッシュに限る

レタスの茂みから子猿の手が伸びた

それはマヨネーズ塗れだった

おれは無表情でパンを持つ手にぐっと力を込める

猿は暴れたがやがて静かになった

諦めたのだろう

この世界は自分専用に出来ていないと悟ったのかもしれない

無理やり口に詰め込んで一気にストレートティーで飲み干した

そしておれの陰鬱は頂点に達した

目に映る全ての物が何か打ち合わせでもしてきたかのようにおれを追い詰めようとしていた

勿論そんなのはただの錯覚なのだが

錯覚を正確に感じ取ってしまった今それは真実と見分けがつかないのだ

見渡せば周りは皆、生きることに何か意味を見出そうと必死だ

空っぽなのに

誰も本当のことを口にしようとはしない

「初めから存在しない方がずっと良かった」

すっきり

おれは人類が存在しなかった世界ほどこの言葉がぴったり似合うことはないと思った


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