第2話
放課後。俺は1人で下校路を歩いていた。昼間の美少女のことを思い出しながら。
「·····あの子どこのクラスなんだろ」
今まで見たことない少女だった。あんな可愛い子1度見たら忘れるわけがない。
「また、会えるかな·····」
また会えたらいいな。そんな考えが頭をの中をずっとよぎる。いかにも2次元とかにいそうな子だった。俺の家にも一応美少女はいるがあいつは論外だ。まず妹に萌えるなど断じてありえない。本当に『お兄ちゃん、だーいすき!』とか言う妹ならまだ可愛いと思えるのかもしれない。だが·····あいつは間違えてもない。
ガチャッ
「ただいまー」
ドアを開けて声をかける。玄関には俺の靴以外にも靴が二つ並んでいた。一つは母親のもの。そしてもう一つは·····結衣のものだった。もう帰ってたのか、あいつ。
「母さん、ただいま」
「あら、早かったのね祐」
「まあ、寄るところもないしね」
「結衣も早かったしねぇ·····」
「もう帰ってきてるんだ·····」
あからさまに嫌な態度が表に出てしまった。また、母さんのお小言が始まる。
「なに?まーた、あんた達喧嘩してんの?」
「別に·····喧嘩とかじゃないよ」
「少しは仲良くしないとだめよ。兄妹なんだから」
「·····わかってるよ」
なんだよ、それ。兄妹だからって。全ての兄妹が仲がいいわけじゃないんだ。勝手に決めつけないで欲しい。·····なんて、母さんに言っても無理か。
「じゃあ、上にいるからなんかあったら呼んで」
「はいはい。結衣にも挨拶しときなさいよ」
「わかってるよ」
俺は階段をゆっくりと上がる。二階に上がって左に行ったら俺の部屋。右に行ったら·····結衣の部屋だ。
コンコン
「結衣、ただいま」
シーン·····
返事は、ない。いつもの事だ。声をかけてもろくに返事もしない。それなのに学校だとあんなにキャラが変わるんだから驚きだ。
キィ·····
自分の部屋のドアを開けて中に入る。17年間毎日使ってきた自分の部屋だ。どんな場所よりも落ち着く。
「はぁ·····」
ベッドに寝転がると俺はいろいろなことを考えた。昼間の少女のこと。宿題のこと。そして·····結衣のこと。結衣のことは正直考えてみてもよくわからないが、ただ、あいつの事は·····何故か考えてしまう。自分でも不思議だ。
「·····意味わかんね」
ゴロンと横を向く。目の前の1面の壁を見ていると何故か心が落ち着いてくる。·····あいつの事は別にどうでもいいだろ。そうだよ、だってもう何年も関わってすらないんだから。
「祐ー、結衣ー!ご飯出来たわよー」
「わかったよ、母さん!」
下からの声に答えると俺はドアを開け重い足取りで階段を降りていった。
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