第24話 不自然
布団屋に、僕の集めた事実を話した。
「皆を驚かせるつもりで、天使を誘った。うちは下取りもやっているから、処分する予定のマットを持ってこさせ、トイレの窓から事前に確認した。飛び降りた窓からは日よけが邪魔で確認できなかった。マットを運んできた従業員を待機させ、天使とトイレの途中で打ち合わせをした。部屋の窓から下をのぞくと不審がられるからね。日よけが夜にはたたまれることは知ってたよ。従業員からの電話が鳴って、OKだと思った俺は、曲を入れた。そして、やつは飛び降りた。中学のとき、体育館の2階からふざけてマットの上に飛んでたよ。だから、そのノリで飛んだのかも。」
電話は、従業員が目を離した隙にマットがなくなっていたので、計画中止を知らせるためにかけたものだった。しかし、OKの合図と勘違いしたというのだ。あいにくその従業員は辞めてしまったらしい。
「計画の責任は俺にある。」
そういって、布団屋はその従業員が誰なのか教えてくれなかった。すでに、そのことは警察にも話してあるという。なので、遺族も当然知っていると思っていたらしい。
「警察からは、話して無かったんだ。あとで、直接事情を話しにいくよ。」
事件当初は、捜査に影響があるからと、他言しないよう警察から口止めされていたらしい。
ここまでの話を聞く限り、調べた内容に一致する。しかし、どうしてもその従業員ってのが気になる。どうして今まで誰からも出てこなかったんだ。そもそも本当に従業員だったのか?だいたい浮浪者が簡単に持っていけるような大きさじゃない。そいつは、何をしてたんだ。一階の住人に許可無くそんなことができたのか?
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