第13話 容疑者

 さて、当日のメンバーの自宅を確認する。

 僕の行っていた学校とは別の街中の中学だ。一人は、布団屋。もう一人が、葬儀屋。すこし離れて、小さな保育園のあるお寺があり、そこの住職。さらに近くのお茶屋。

「なんだか、死人がらみの商売だなあ。」

 普通のサラリーマンはいない。地元にあまり大きな企業もないし、みんな都会に出て行くんだろう。僕のように地元にもどるIターン組はまだ少数だ。


 天使の通っていた中学から同じ高校に通っていた連中に4人の話を聞いた。

 富田(とんだ)布団店。昔は羽振りが良かったらしい。ただ、代替わりしてからは経営難で、法事で使う座布団で細々と経営をしている状態。

「クラスの連中は、布団やふっとんだなんて言ってたな。」

 西上(にしがみ)葬儀社。家族葬がメインの小さい店だ。最近の葬式の小型化によってかなり儲かっているらしい。

「よく、しにがみ葬儀屋って言ってからかってた。」

「天使と死神がいるって周辺では有名だった。」

 その会社の契約寺である地大寺(じだいじ)。先代の理事長から今の園長に代わって、周囲の空家を買い取ってずいぶんと規模を拡張している。

「坊主のやつ。ボッチだったな。坊主が好きな子供なんていないだろう。」

「一休さん。みんな呼んでたよな。なんでだっけ。」

「よく学校休んでたからだよ。法要にくっついていっては小遣い稼ぎをしていたらしい。」

 渋沢お茶店。普通のお茶も売っているが、主に冠婚葬祭用のお茶を卸しているようだ。

「昔はそうでもなかったが、商売がらみで最近はよく一緒にいるらしいよ。」

「おれたち(サラ)リーマンの子のグループと、商売人のグループと別れてたな。」

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