第8話 面接

 天使のやつ、死んだショックからなのか当時の状況がよく思い出せないらしい。とりあえず、店と当時のメンバーだけは把握できた。店のSNSを見ると、天使の自殺で悪い噂が立ち、そうとう困っているようだ。解決策を募集している。


 まずは、調査会社に面接に赴く。堀田・久利調査会社。マンションの一室だ。なんだか怪しい雰囲気があるが、背に腹は変えられない。

「え~と、当社を受けるということは、何か調査したい物件をお持ちなんですね。」

 部屋には社長の堀田と専務の久利がいた。他の調査員は全てパートでネット指示。


「居酒屋チェーン店。落ちた評判を回復したい。・・・ありますよ。聞き込みと客になってチェックする方法のふたつ。調査結果で何かが変わるわけじゃないけど、風評ってやつは、そのこと自体よりも、他の気に入らないことの理由にされるケースが多いですから。そこがわかれば、改善の余地があるってわけです。とりあえず、一ヶ月契約で、実際の調査時間に応じて時給800円でいいですか。基本的に経費はでません。ただ、件数に応じてボーナスでますから頑張ってください。」

 収入は期待できないが仕方が無い。正式な調査依頼があったら、会社が契約することになる。1回の調査で5万から10万。僕の時給にくらべてずいぶん高い。

「チェーン全店とか定期的にとなると一回あたりは安くなるけど、1店舗1回だと高くなるから。その辺りは、資料をみて営業して。」


 営業の基本だけ教わって、帰されてしまった。

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