第7話 就職

 天使の無念については同情するが、無職の身ではどうしようもない。

「警官になっても、勝手な捜査はできないから力になれないぞ。」

 僕も一生がかかっている。友人のために職を選ぶってわけにもいかない。

「探偵なら手伝ってやるよ。」

 幽霊の天使なら、どこでも自由に出入りできるだろうし、盗聴も自由にできるだろう。しかし、何の実績も無い探偵に依頼が来るのかということと、やばい連中に関わってしまったらというリスクを考えると、漫画のようにかっこよくはいかない。野良猫探しや浮気調査が関の山だろう。


 正規の社員っていうのは、今からでは難しい。最初はパートでもいいかと思って、ネットを調べてみる。

「う~ん。調査の仕事って結構あるんだな。」

 従業員の接客態度や、商品の値段、通行量の調査なんてのもある。ただ、どれも単発で不安定だ。


 そんな中である調査会社の調査員募集の記事に目が留まった。ほとんどの調査会社が請負で、調査内容を選べない中、ここは調査したい内容を社員が見つけてくるらしい。調査費用や詳細は会社がクライアントと交渉してくれる。業種によってはノウハウも会社が提供してくれる。

「仕事はやらされるものではなく、やりたいことをやる。これが、わが社のモットーです。」

 ホームページの社長の言葉にこころを奪われた。

「これなら、うってつけだ。」

 僕は働きながら、天使の死の真相も調査する方法を思いついてしまった。

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