第6話 天使にアニソンを

 納骨も済んで、7日ほど経ったころ、その日、5社に面接に行ってクタクタだったが、あまりの寝苦しさに夜中に目が覚めた。辺りは暗く、手探りで枕もとの目覚ましを探す。

「まだ、2時?」

 もうひと眠りしようと横になって、驚いた。目の前に、白い影が漂っている。


「こんばんわ。」

 頭に三角の白い布をつけたやつがふわふわ目の前を飛んでいる。

「幽霊・・・いや、何もない、何もない。」

 人間余りに驚くと、声にならない。むしろ、無かったことにしようとする。必死に布団をかぶって目をつぶってやり過ごす。

「夜分遅くにすみません。」

 何だ。ずいぶんと礼儀正しい幽霊だな。最近は『うらめしや』じゃないのか?それとも、最近の幽霊は『うらめしや』も知らないのか?『裏の飯屋』じゃないぞ。

「なるきくん、なるきくん。起きてるんでしょ。」

 幽霊に知り合いなていない。


「もう、去ったかな?」

 布団を少しもちあげて隙間から外をのぞく。やつは見えない。

「ふう。」

 布団をどかして、ベッドに座った。

「やっぱり起きてた。」

 やつは白い顔をいきなりい近づけてきた。


「天使の幽霊?」

 天使のやつ、未練があって成仏できないらしい。あの日のりきじゃなかったが、僕と会ったことで同窓会に行く決心がついたそうだ。その二次会でのこと。カラオケが始まったのだが、別の客が入れたのか、アニソンがかかった。歌を聴いた連中は、

「天使だから窓から飛んでみ。」

 といって落とされたらしい。ところが、自殺とされてしまってこのままでは浮かばれないというのだ。

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