第3話 再会
それからは、学年も違ってしまって、一緒にいることもなくなった。僕は三流大学だが何とか潜りこんだ。試験会場に裏から入ったので、裏口入学なんて自虐ねたにしてたけど。
天使のやつは、高校を出て、すぐに働き出したらしい。親も自営業だったからそんなに抵抗はなかったようだ。
4年になっていよいよ就職先が決まってないことに焦った。うちの親はサラリーマンだからコネとかない。いくつか企業をまわったが、学校名でほぼ落とされる。たまに、面接までいくことがあるが、貧相な僕を見て皆、決まって
「君、名前負けしてるね。」
と言う。
「派手な名前は、営業には向かないよ。相手をヨイショして何ぼの世界だよ。」
そういわれては、実もふたも無い。せめて公務員だったら、名前とか関係なかったのに。そう思っても、後の祭りである。
その日は、面接もなく荒川の土手の上に腰を降ろすと、下で遊んでる連中をぼんやり眺めていた。幼児連れの親子が笑いながら過ぎていく。すこし、眠くなりかけたころ一台の自転車が後ろでけたたましいブレーキ音とともに止まった。
「よう、何してんだい?」
7年ぶりだった。天使は相変わらず、不良っぽい雰囲気はあるものの、普通の若者になっていた。髪型や服装のセンスが変わってない。紫色の職人風のつなぎを着ている。
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