第12話 いざ、戦地へ

ひょんな事から輸送機を手に入れ、仕事にいける場所が広がった。

 初心者の街飛行場を離陸したC-17は、仕事先であるガロモン王国へ向かっていた。

 ロータスとイリーナに操縦を任せ、あたしとスズキ、トモミは後部のカーゴルームで雑談していた。

「にしても、凄い街になったもんだ。半分だけだろうがロータスだって神でしょ!!」

「内緒にしておいてくれよ。静かな方がいいからよ!!」

  元気がいいスズキに、あたしは苦笑した。

「私も内緒にします。いっても、信じてもらえません」

 トモミが苦笑した。

「そりゃ助かる。はぁ、まさかこんな事で仲良くなれるとは思わなかったぜ!!」

「これ以上のインパクトは早々ないって!!」

「うん、ないね」

  スズキとトモミが笑った。

  スズキが席を立ち、操縦室に向かっていった。

「どんな操縦してるか、みてきてやるから待ってて!!」

「やっぱ、気になるのね」

  あたしは苦笑した。

  スズキと入れ替わりに、イリーナが出てきた。

「おう、実際に使える『お行儀が悪い』操縦をロータスが教えてる。これは、まっとうな飛行機乗りは嫌がるぜ!!」

「あんま嫌がらせすんなよ!!」

 イリーナがやってきて、トモミの脇に座った。

「あの、先ほどの飛行は凄かったです。パートナーを組めば、なんだってぶっ壊せ……コホン、なんでも壊せますよ」

「ちらっと見えたな!!」

  あたしは笑った。

「ハハハ、そういうのはもういいや。楽しく飛べるならそれでいい」

  イリーナが笑みを浮かべた。

「はい、私も楽しく飛べるのが前提ですが、守るためには撃たないといけない時もあると思うんです。例えば……」

 ドンという腹に響く音が聞こえ、機体が揺れた。

「例えば、今のガロモンとかね。ピリピリしてるから、さっきから堕とす気満々でガンガンレーダーをロックオンしてくるんだな。仕事で来てるってのに、聞かねぇのなんの!!」

「うぉい!?」

「今のは地対空ミサイルを回避した時、ばら撒いたチャフに突っ込んで爆発した衝撃ですね。操縦はスズキですか?」

 トモミが席を立った。

「うん、ロータスは余裕でプリン食ってるぞ。これが、慣れってやつだ!!」

「プリン!?」

「私もみてきます。こんなの滅多にないから!!」

 トモミが揺れる機内を物ともせず、操縦室に向かった。

「いい友達じゃないの。変わってるけど!!」

「おう、変わってるのしか寄ってこないぜ!!」

 あたしは笑って、揺れる機体に身を任せた。


 結局ロータスの操縦になり、半ば強行着陸となったようだが、あたしたちを乗せた輸送機はガロモンの空港に降り立った。

「こ、これが、リアルファイト……」

 なにか、感無量なスズキをよそに、あたしたちはブラッドレーを下ろす作業を行った。

「これで分かった。野郎どもを暴れさせるには、機械じゃダメなんだよ。むしろ、機械を乗っけて飛んでるんだからさ。あれは、逆効果だぞ」

 イリーナがあたしの頭を小突いた。

「……覚えてるし。悪かったよ!!」

 イリーナが笑った。

「分かればよし。さて、これからどうするんだ?」

「ああ、目的地っていうか最前線までは結構あるな。順調に進んで、一時間はかかるぞ」

 ロータスが依頼書を片手にいった。

「あの、私たちは?」

 トモミが聞いてきた。

「ああ、基本的にはスズキと一緒に後ろにのってりゃいい。あとのバーベキューだけ楽しみにしてくれ」

「分かりました」

  輸送機から下ろしたばかりのブラッドレーの後部に二人は向かい、あたしはいつもの砲手席に座った。

「よし、異常はないねぇな。いいぜ!!」

「こっちも問題ないぞ!!」

「よし、それじゃぱ………じゃなかった。前進!!」

 ロータスの声で、ブラッドレーは走り始めた。

「おい、今ノリでなんかヤバかっただろ!!」

「気のせいだ、問題ない……」

 咳払いしたロータスに、あたしは笑ったのだった。

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