15

暗い気持ちを押し隠し、残りの授業も無事終了。


仕事も6時には切り上げ、スーパーに寄ってマンションに帰宅―すると、


「あっ、おかえり」


…彼がソファーで寛いでいた。


どうやら家に一度は帰ったらしく、私服でテレビを見ている。


「あっ、家にあったお肉持ってきたから、今日はそれで夕飯作ってよ」


「お肉っ!?」


アタシは慌てて冷蔵庫を覗いた。


…確かにお肉はあった。正確にはお肉の塊が。


アタシの頭二つ分ぐらいはある、巨大なお肉が。


「…どう料理しろと?」


「ハンバーグが良い。目玉焼き乗っけてね」


こっちを見ず、返事をする彼が憎らしい…!


けれど文句を言い返せば、また何かしらイジワルをしてくる。


「…分かった。目玉焼きハンバーグね」


エプロンをかけ、手を洗ってすぐに調理をはじめる。


「あははっ」


彼はテレビを見て笑っている。


これじゃあまるで新婚だ。…絶対イヤだけど。


ご要望通りに目玉焼きハンバーグとスープとサラダを作って、テーブルに並べた。


「ご飯できたわよ」


「は~い」


すぐに彼はこっちに来て、イスに座った。


「いっただき…って、うっ★ 野菜サラダがある…」


「健康の為よ。残さず食べなさい」


「ヤダなぁ。野菜嫌いなの、知ってるクセに」


「健康に悪いわよ。それにアタシの作ったもの、食べられないの?」


ちょっと睨んで見ると、彼は縮こまり、少しずつサラダを食べ始めた。


「あっ、そうだ。補習のことなんだけどさ」


「ええ」

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