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「涼子…」


「何かあったら、相談しなさいね。わたしは学校よりも、美咲の方が大事なんだから」


「…ありがと。ガマンできなくなったら、相談するわ」


「ええ、待ってる。じゃね」


最後に笑顔を浮かべ、涼子は出て行った。


心配…かけさせちゃったか。


でも親友の涼子にだって、相談できない。彼のことは。


言ったら下手すれば、涼子にまで迷惑をかけてしまうかもしれない。


ブルルルッ!


またケータイのバイブだ。


メールが来ている。見てみると…。


『授業つまんない。美咲に会いたい』


…彼からだった。


アタシは思わず周囲をキョロキョロと見回した。


どこかに盗聴器か、盗撮器があるのだろうか?


しかし見つからなかったので、とりあえずメールに視線を向ける。


『授業を真面目に受けなさい! 良い子になるんでしょう?』


と返信するとすぐに、


『ぶ~★ 分かりました。でも今夜、部屋に行っても良い?』


…切り替えしが早いなぁ。


しばらく考えた後、テスト期間中は会える時が少ないことを思い出した。


ストレスをためさせるよりは、小出しに発散させた方が身の為だ。


『分かった。じゃあ7時過ぎに』


『OK! 待っててね』


ケータイをしまうと、今夜の献立を考えた。


彼は偏食が多いから、それを食べさせる為に料理するのが大変だ。


「帰り、スーパー寄って行かなきゃ…」


今日はテスト問題の最終確認をしようと思っていたのに…。


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