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「ん~。でもオレ、美咲の困った顔、好きなんだよね」


「なっ何よそれ!」


「いつもは完璧な教師の仮面を被っている美咲が、オレのことになるとちょっと困ったような顔になるのが嬉しいんだ」


「…それはあなたが問題児だからよ」


「だろうね。だからあえて授業に出なかったんだけど?」


「イジワルね! そんなんじゃ女の子に嫌われるわよ!」


「別に良いよ。オレは美咲にだけ好かれればそれで良い。他のヤツなんて必要ないもの」


そう言った彼の表情は、怖いほど真剣だった。


「だから美咲、オレだけのものになるって言って? そしたらもう、美咲を困らせることは絶対にしないって誓うから」


ぎゅっと抱き締められ、目の前が眩む。


彼の匂いが、アタシの体の中に染み渡るから…。


「美咲だって、オレが良い子になった方が嬉しいデショ?」


「どこが良い子よ。悪魔だわ」


「光栄だね。天使よりも悪魔の方が魅力的だし」


軽く笑うと、また唇にキス。


たまらなくなって、アタシは彼の背にしがみ付いた。


「じゃあこうしようか? 学校では良い子になるよ。その代わり、それ以外では悪い子でいいよね?」


問いかけるような言葉だけども、その目は否定を許さない強さがある。


思わず目を逸らすも、顎を掴まれ、視線を合わせられる。


「―返事は? 美咲。このまま教師をクビになんてなりたくないよね?」


「…ズルイわ」


「うん、ズルイね。まっ、もっともクビになってもオレは構わないんだけど。その方が美咲を独占できるんだし?」


…彼の実家はかなりの権力を持っている。


下手すればアタシ1人ぐらい消えても、どうにでもできるような力を…。


結局、辿る道は同じ。それならば…。


「…本当に真面目になるのね? 担任の先生にも迷惑をかけない?」


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