第59話(最終話)不可能を可能にした男からのメッセージ

 私は、少し酔っぱらっていた…


 そして、少し急いでいた。

 予定より昼ご飯を食べるのが遅くなってしまったからである。


 だが、幸せな気分であった。

 今、お昼にホルモン屋で食べたお好み焼きが美味しかったから…


 ホルモン屋の帰り道にたこ焼き屋があった。

 あの頑固オヤジのたこ焼き屋「くろ潮まる」である。


 私は、店の前を通り過ぎる時に頑固オヤジに挨拶だけしようと思った。

 すると、店の前のテーブル席に知っている顔があるのに気付いた。

 その人もこっちに気付き笑顔で手を振って来た。

 その人とは、美人風マダムである。


 私は、美人風マダムとの再会を喜んだ。

 そして、どうしてそこにいるのか私は聞いた。

 すると、美人風マダムは言った。

「かなちゃんとサプライズでちゃーちゃんとこに行こうと思って…」と美人風マダムは説明した。


 かなちゃんとは、居酒屋の「リトルキッチンかなちゃん」の長身の玉子焼き職人のことであり、ちゃーちゃんとは、「ホルモンかず」のムーミン谷のミーに似たお好み焼き職人のことである。


 私は、美人風マダムに言った。

「マダムが来ることは知らなかったけど、かなちゃんが来ることはあの頑固オヤジから聞いてたよ。ちゃーちゃんも一緒に聞いたから知ってるよ。」

 すると、頑固オヤジが私をギロリと睨んだ…


 私は、美人風マダムに急いでいることを告げて別れた。


 帰路に就いた私は、睡眠不足と満腹感とお酒を予定より飲み過ぎた事により、睡魔に襲われつつあった。

 そこで、帰り道の途中にあるコンビニでブラックコーヒーを買った。


 そして、私はブラックコーヒーを帰りながら飲んだのであった。


 家に戻ると早速、パソコンに向かったが、飲み過ぎの所為か、なかなか頭が回らないそれでも私は必死に考えてパソコンを打った。


 その日が、私の挑戦している小説コンテストの締め切り日だったのである。

 その日の23時59分がリミットであった。

 9万字程度という応募規定までは、あと1万字弱となっていた。

 数日前までは、絶望的な数字であったが、最後まで諦めないで頑張れば「不可能が可能になる」と信じて頑張って来た。


 私には諦めるわけにはいかない理由があった。

 それは、どうしてもある友達の為、不可能を可能にしなければならないのだ!


 私が、不可能を可能にすれば、きっとその友達も不可能を可能にしてくれると思うから…

 だから、私は諦めるわけにはいかない…


 このノンフィクション短編小説集は、その人へのメッセージである。

「不可能を可能にした男から不可能を可能にする女への…」


 そして、私の挑戦はこれで達成された。

 次は、君が頑張る番だ!


「がんばれ!ちゃーちゃん‼君なら出来るさ…」

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足の向くまま…風の吹くまま… 権田 Q三郎 @0we38c19214606m

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