第55話 私、1番精算機の前にいます…

 私は、朝の5時まで眠れなかった…


 だが、5時を過ぎた頃から急に睡魔に襲われた。

 そして、いつの間にか眠りに着いていた。


 私は、ハッとして目を覚ました…

 携帯の時計で時間を確認する。時刻は、7時過ぎであった。


「2時間寝ていたのか…」と私は呟いた。

 それから、私は10分程布団の中でボーっとしていたが、起き上がった。


 妻がリビングから声をかけて来た。

「朝ご飯、食べる?」

 私は、「いらない…」と答えた。


 私は、平日の朝は、基本的に朝食を食べない。

 その日も平日であったので、いつものように答えたのだ。


 何故、平日の朝食を食べないかというとギリギリまで寝ていたかったからである。

 正確に言うと、ギリギリまで現実逃避したかったのである…


 その日、私はいつもより少しだけ早くベッドから出て、少しだけ早く顔を洗い、少しだけ早く家を出た。


 そして、いつもは駅に向かうのだが、その日は違う方向に歩き始めた。

 外は、朝なのにポカポカ陽気で気持ちよかった…


 私は、近所の住宅街を歩き、近所の公園を歩き、約1時間ウォーキングをした後、午前9時過ぎに近所のスーパーへ向かった。


 そのスーパーは、9時開店であった…

 私は、そのスーパーの入口を入ると入口の買い物カゴは取らずに、サービスカウンターの前から売り場に入った。

 私は、野菜ジュース売り場の1回飲み切りの小サイズの野菜ジュースを一つ手に取った。

 それから、サービスカウンター前のレジに向かった。


 レジには、60代の女性店員が立っており、胸の名札には研修中と書かれていた。

 その横には、40代女性店員も並んで立っていた。


 私は、60代の女性店員の前に野菜ジュースを置いて、1番の精算機の前で立って待っていた。

 その女性店員は、慣れない手つきで野菜ジュースのバーコードをポスレジで読み取った。それからの操作が分からなかったのか?オドオドしていた。

 隣にいた指導係の女性店員が、操作を説明しながら進めた。

 60代の店員は、言った。

「レジ袋は、ご用意しますか?」

 私は、「いらない。」と答えた。

 すると60代店員は指導係の説明を聞きながら操作し、会計金額が2円引きになった。


 60代店員は、更に言った。

「83円でございます。1番の精算機の前にお進み頂き、精算お願いいたします。」

 私は、「前から1番精算機の前にいますけど…」と心で呟きながら精算した。


 精算が終わると私は、イートインコーナーへ行き、カウンター席に座って買ったばかりの野菜ジュースにストローを刺し、吸い込んだ。

 野菜ジュースは、よく冷えていた。

 私は、思わず叫んだ!

「ウォーキングをした後の野菜ジュースは、最高だなぁ~!」


 スーパーから出ると、外は相変わらずのポカポカ陽気であった…


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