第44話 日替わりランチのコーヒーが旨い店
私は、車の中で考えていた…
午前の病院との打合せが早めに終わり、午後のアポまで結構時間があったので、どこでランチを食べようかと考えていた。
そして、「天津飯か天津麺が食べたい!」と急に思い立ったのである。
ちょうど近くにそのメニューが食べれる店があった。そこから、車で1分程の距離であった…私は、その店の駐車場に車を停めた。
まだ、昼前だというのに半分近く埋まっていた。
私は、車を降り店の看板を見上げた…そこには、「餃子の王将」と書かれていた。
店内に入ると入口の壁面に大きなモニターが設置されていた。そこには、「本日のランチ」が2種類写し出されていた。ランチAは、野菜丼と醤油ラーメンのランチ。ランチBは、餃子のランチ。
入口を抜けると店のロビーに出た。そこにも大型のモニターが設置されており、同じようにランチの画像が写し出されていた。野菜丼の写真が凄く美味しそうに見えた。
私がロビーに行くと20代後半ぐらいの女性店員が、にっこり笑顔で迎え入れてくれた。
そして、私に言う。
「お一人様ですか?カウンター席でもよろしいですか?」
私は、「はい。」と答えた。
カウンター席は既に半分以上埋まっていた。
私がカウンターの中央辺りの席に着くと、先程の女性店員が水とメニューを私の前に置いて言った。
「ご注文がお決まりになりましたら、お呼び…」
私は、そのマニュアル通りの台詞を遮るように「ランチBお願いします。」と言った。
私は、水を飲みながら、店内を見回した…
店内は、かなり広くカウンター席が20ぐらいとテーブル席は、30以上あった。
やがて、女性店員がランチAをトレーにのせてやって来た。
それを私の前に置きながら言った。
「コーヒーは、あちらのコーヒーメーカーでお替り自由となっておりますので、この紙コップをお使い下さい。」
私がトレーを見ると空の紙コップがのっていた。
私は、まず醤油ラーメンのスープをレンゲですくって、口に運ぶ。いつもと変わらない王将の醤油ラーメンの味…可もなく不可もなしという感じ。別に嫌いではない…
今度は、麺を啜る。いつもの王将のラーメンの麺…可もなく不可もなしという感じ。別に嫌いではない…
ラーメンの具は、チャーシューとワカメとネギである。特に何も言うことはない…だが、ワカメはこの醤油ラーメンには結構合うと思った。
次に野菜丼である。見た目は、結構色合いが綺麗である。私は、一口頂く。餡掛けのとろみ具合はかなりいい感じである。シャキシャキ感が残った野菜の食感も良かった。ただ、具材が野菜だけなので、中華丼と比べると味の旨み深みがどうしても足りない感じがした…
私は、食べ終わると紙コップを持って席を立った。そして、カウンター横に置いてあるコーヒーメーカーの所に行った。
コーヒーメーカーには、3種類のメニューが書いてあった。アイスコーヒー、ホットコーヒー、アメリカンである。
私は、コーヒーメーカーの中に紙コップを入れ、アメリカンのボタンを押した。
コーヒーメーカーは作動し始め、やがて紙コップにコーヒーを注ぎ始めた。注ぎ終わると私は紙コップを取り出した…コーヒーのいい香りがした。
席に戻り、私はアメリカンコーヒーをブラックで一口飲む…口の中にコーヒーのいい香りが広がった。「旨い!」私は、心の中で呟き、ゆっくりコーヒーを楽しんだ…
コーヒーを飲み終えた私は、コップの水をゆっくり飲み干してから、レジに向かい会計した。
店を出る時、私は壁面のモニターを見た。
そこには、本日のランチが相変わらず写し出されていた…やっぱり、野菜丼が美味しそうだった。
私は、思った。
「やっぱり、天津飯にしたら良かったかな⁉︎」
だが、すぐに思い直し、
「コーヒーが美味しかったから、まぁ〜いいか!」と呟いた…
外に出ると空は相変わらず、雲一つない青空だった…
でも、吹く風が少し冷たく感じられた…
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