第38話 尼崎探検隊ツーリングツアー

 井上隊員と私は、駅前の梅川ちゃん前で待っていた…


 その日は、朝から絶好のサイクリング日和であった。

 集合時間の5分前に奴がおどおどしながらやって来た。そして、

「この前は、すっぽかしをしてしまい大変申し訳あり…」と言いかけたところで私は、遮るように言った。

「お前、10分前行動だっていつも言ってるだろう!」

 種市教授は、アワアワしながら沈黙した…


 種市教授とは、ある大学で人肉について研究しているらしいという男である。彼は、研究の一環として、人間狩りをして人肉を食べていると噂されている…


 そして、すぐにスキンヘッドの男ユリちゃんもやって来た。


 その日は、私を含めた4人で尼崎探検隊ツーリングツアーに出かける事になっていた。


 まず、私達はツアーの出発地点である梅川ちゃん前で記念写真を撮ってからスタートした。


 ツーリングツアーの第1チェックポイントは、駅前のローソンであった。

 私達は、ローソン前で記念撮影しながら、缶ビールで乾杯した。

 春の暖かい日差しの下で私達は、

「カンパーイ‼️」と叫んだ。

 凄く気持ちが良かった…私達は、一気に缶ビールを飲み干し、第2チェックポイントを目指した。


 第2チェックポイントは、サイゼリヤであった。私達は、開店1番に店内に入った。

 40前後の男性店員が席に案内してくれた。

「こちらの席にどうぞ。」

 と店員は言ったが、

 私達は、「こっちのテーブルがいい」と言って違う席に座った。


 私は、メンバーに言った。

「ワインは、白か赤かだけ選んでいいよ。後のメニューは選べません。」

 すると、ユリちゃん隊員は、「白がいい。」

 井上隊員は、「赤!」と言った。

 トシちゃん隊員は、オドオドしながら何も言わなかった。


 トシちゃん隊員とは、種市教授のことである。


 私は、ユリちゃん隊員と井上隊員にジャンケンをするように言い、2人はジャンケンをした。

 結果は、ユリちゃん隊員の勝ちだった。


 私は、呼び鈴で店員を呼び、注文した。

「マグナムの白、グラスは4つ。パンチェッタのピザと辛味チキン。」

 店員は、注文を復唱して立ち去った。


 すぐにマグナムボトルの白とグラスがテーブルに並べられた。

 私は、種市に注ぐよう命じた。


 そして、私達は記念写真を撮りながら乾杯した。

 その後は、いつも通り種市教授のダメダメ話で盛り上がった。

 マグナムボトル(1.5リットル入り)が空になったので、私達は次のチェックポイントを目指して店を出た。


 私達のツーリングツアーとは、自転車でいろんな店に行き、飲み歩くツアーのことである。


 第3チェックポイントは、「リトルキッチンかなちゃん」であった。

 その店は、閑静な住宅街の一角にあった。


 私達は、店の前で記念撮影してから、店に入った。

 その店は、カウンターメインで座敷にテーブルが一つという小ぢんまりとした店である。

 私達は、昼一で店に行ったので店のママはいなかった。昼は、マスターが1人だけでやっていた。

 マスターは、リトルキッチンマスター隊員という隊員ネームの尼崎探検隊員であった。

 私達は、そのリトルキッチンマスター隊員とまず記念撮影しながら、乾杯した。

 そして、その後は種市教授のダメダメ話で盛り上がった。


 その店では、1時間半ほど楽しく呑んだ後、私達は、次のチェックポイントを目指した。


 第4チェックポイントは、高野隊員がいる「モンキーラッシュ」であった。

 私達は、高野隊員を交えて記念撮影をしながら、乾杯した。

 そして、塩焼きそばと豚モダン焼きを食べながら、種市教授のダメダメ話で大いに盛り上がった。

 その店では、1時間程呑んだ後、次のチェックポイントを目指した。


 次のチェックポイントは、ちゃーちゃん隊員のいる「ホルモンかず」であったが、その日は、休みだった。

 仕方ないので、「ジョニーのからあげ」に行ったが、店は閉まっていた。

 そして、私達は今日は休みだと知っていたが、「くろ潮まる」という頑固オヤジのたこ焼き屋に行ってみた。

 やっぱり休みだった…魔の三角地帯は、すべて閉まっていたのである。

 店前で記念撮影だけでもしようと思った時、突然カリスマが現れた!

 私達は、カリスマを交えて記念撮影をしてから、次に向かった。


 次のチェックポイントは、仕方ないので私の家だった。

 私達は、私の家で記念撮影をしながら、乾杯した。

 そして、種市教授のダメダメ話で大いに盛り上がった。

 記念写真もいっぱい撮って楽しく呑んでいたが、気づくと私の門限の17時になっていた。

 家にいるので、門限には間に合っていたが、この酔っ払い達をなんとかしないとダメだった…


 私は、酔っ払い達を家から追い出したが、家の前で記念撮影会が10分以上続いた。なので、妻が帰って来て目撃されてしまった。

 そして、お開きになり、彼らは自転車に乗って立ち去った…


 見送る私の頬を春のそよ風が優しく撫でた…




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