第34話 スキンヘッドの男、再び…

 そろそろ出掛ける時間であった…


「パンマンに声かけてくれよ。」妻に私が言った。私は、出掛ける用意をし始めていた。妻がパンマンに出掛ける時間だと伝えに行って、一階に戻って来た時であった。


 突然、「ピンポーン」とインターホンが鳴った…

 妻が、リビングのモニターで対応した。

 そして、寝室にいる私に叫んだ!

「友達来てるよ〜!」

 私は、誰だろう?と思いながら、玄関の戸を開け、門の外にいる人物を見た。

 その人物のヘアスタイルは、スキンヘッドであった。

 そのスキンヘッドの男は、私を見るなりニッコリ笑った。

 私は、スキンヘッドの男に話しかけた。

「どうしたの?」

 スキンヘッドの男は、言った。

「突然にすみません…、田舎に帰ってたのでお土産持って来ました。」と言って、袋を渡してくれた。

 私は、「ありがとう!」と言って受け取った。

 そして、袋の中を見てみた…

 篠山の日本酒セットであった。

「ユリちゃんの田舎って、篠山なんだ!」と私は言った。

 ユリちゃんは、「篠山です。」と言い、微笑んだ。

 私は、この時ユリちゃんの出身地を知った…


「わざわざ来てくれて、ありがとう。」と私は、再度礼を言った。


 するとスキンヘッドのユリちゃんは、前回と同じようにすぐに立ち去って行った。


 私は、ユリちゃんの後ろ姿を見ながら、違和感を感じた…

 前回とは違い、立ち去って行くスピードが遅く感じたのである。

 よく見ると、今日のスキンヘッドの男は、自転車に乗っていなかった…

「どうして…?」と私は、心の中で呟いたが、スキンヘッドの男の背中は、だんだん遠去かり、小さくなって行き、見えなくなった…


 私は、手に持った日本酒セットを見て、心が温かくなるのを感じていた…

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