第33話 ゴンタの「サプライズプレゼント」後編
「もうすぐ、家に帰る」と私の携帯にメールが入った…
そのメールは、妻からであった。
私は慌てて、ゴンタとパンマンにその事を伝え、家に帰ろうとした。ショッピングモールの出口まで行くと外は結構な雨が降っていた。仕方なく、私達はショッピングモールの中に戻り、一階にある百均で傘を買った。
出口を出て、傘をさしてみた。「やっぱり、結構短いなぁ〜」と私は呟いた。
でも、そんな事を気にしている場合ではなかった。私達は、妻よりも早く家に帰りプレゼントの存在を一旦隠さないと行けなかったのだ。私達は徒歩だったが、妻は自転車である。だから、途中で追いつかれると完全にバレてしまう。そして、妻がこれから帰るとメールして来た場所は、私達がいたショッピングモール内であった。なぜなら、そのショッピングモールが妻の職場なのだ。
幸いにも家への到着は、私達の方が早かった。そして、ゴンタは一旦2階にプレゼントを隠した。
しばらく、リビングで休んでいると妻が帰って来た。
妻は、荷物を置くと「もう行くの?」と聞いて来た。
本日の夕食は、ゴンタの奢りである店に行くことになっていたのであるが、何時に行くかは、まだ決めていなかった。
私は、「そうだな…でも、今日店開いてるか念の為に電話してみるわ。」と言って携帯で電話した。
その店は、個人経営の店で定休日がなく、たまに休む時があるので、確認することにしたのである。
電話が繋がると中島という店員が出た。
私は、「今日店開いてますよね?4人テーブル席予約したいんですが…」と聞いた。
中島君は、「大丈夫ですが、何時頃になりますでしょうか?」と質問して来た。
私は、「たぶん、17時半過ぎになると思います。」と返事した。
中島君は、「お名前の方だけよろしいですか?」と聞いて来た。
私は、名前を告げた。
すると中島君は、
「あっ、いつもありがとうございます。お待ちしております。」と私に気づいたみたいであった。
私は、「店やってるみたいだから、行くぞ!」と言った。ゴンタとパンマンも準備をして一階に降りて来た。その姿を見て私は思うことがあり、妻とパンマンに先に店に行くよう促した。そして、2人が家から出て行くと私はゴンタに言った。
「お前、荷物はどうした?」
ゴンタは、「えっ、なんの?」と首を傾げた。
「お前、サプライズプレゼント渡すんだろう?」と私は確認した。
「店で渡すの?」ゴンタが聞いて来た。
「当たり前だろう!乾杯した後に渡すって言っただろう!」と私が言うと
ゴンタは、「持って来る…」と言って二階に取りに行った。
ゴンタが降りて来て2人は、家を出た。
外は、相変わらず雨が降っていた…
傘をさして私達は北に向かった。約10分でその店に着いた。
店の看板には、「寿し 久」と書いてあった。
私とゴンタが、店内に入ると奥のテーブル席に妻とパンマンが座っていた。
カウンターの中に如何にも職人という感じのマスターが立っていた。私は、マスターに挨拶をしてからテーブル席に向かった。
そして、目を疑った…
テーブル席で妻がプレゼントを開け始めていた…
「えっ、なんで?なんでもう渡してるの?」と私は思わず叫んだ!
ゴンタは、「渡したらダメだったの?」と聞いた。
私は、言った。
「当たり前だろう!乾杯した後に渡せって言ってただろう!」
だが、妻はプレゼントの中身を出してしまった。手長ザルとナマケモノの縫いぐるみを…
そして、仕方ないので、私達は妻と縫いぐるみを戯れさせた。
そうしている間に中島君が、ドリンクのオーダーを取りに来た。それぞれ注文して、ドリンクが来ると私達は、乾杯した…
サプライズプレゼント贈呈をダメにしたゴンタにちょっと不満を感じたが、この店は彼の奢りなので、遠慮無く注文することで、私達は、不満を解消することにした…
付き出しのホタルイカの沖漬けを頂きながら、キリン一番搾り瓶ビールが喉に流し込まれるのを合図に私達は、注文を始めた。
お造りの盛り合わせから始まり、ホタルイカのお造り、海老のおどりの握り、天ぷらの盛り合わせ、黒毛和牛のウニのせの握り、ウニの握り、本マグロのトロの握り、串カツ盛り合わせ、にぎりの盛り合わせ…
ビールも店の一番搾りが無くなるとアサヒスーパードライの瓶ビールを飲んだ…
私達は、満腹になるとゴンタに会計を頼み、外に出た。
外は、まだ雨が降っていたが、気分は良かった。
息子に奢ってもらうのは、とても気分がいいものである…
その夜、手長ザルの縫いぐるみはパンマンとナマケモノの縫いぐるみは私と一緒に寝た事は、言うまでもなかった…
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