第27話 懐かしいラーメン

 あまり食欲が無かった…


 昨夜の飲み過ぎの所為か?それとも睡眠不足の所為か?

 もう昼だというのに食欲があまり湧いて来なかった…

 なんか軽く麺類なら食べれそうだった私は、あるショッピングモールのフードコートに向かった。

 3階の駐車場に車を停めてから、1階のフードコートまでエスカレーターで降りる。ここのエスカレーターは、階ごとにフロアを歩かないとダメなのでちょっと面倒くさい。


 フードコートに着いた私は、フロアを見渡した。何軒か閉店になって歯抜けになっていたので、あまり選択肢がない。麺類は、3軒あった。讃岐うどん屋、長崎ちゃんぽん屋、ラーメン屋である。

 私は、迷わずラーメン屋に向かった。ここのラーメンは、高級感が全く無い…でも、たまに無性に食べたくなる…名古屋人は、この店のラーメンを名古屋のソールフードと呼ぶ。

 私は、名古屋人ではないが高校の頃からこのチェーン店のラーメンを食べ続けている。私が高校1年の時に近くにショッピングセンターが出来て、その中にこのチェーン店のラーメン屋が入ったからである。


 私は、フードコートのそのラーメン屋の看板を見上げた。「sugakiya」と書かれてあった。そして、細身の40代と思われる女性店員に「特製ラーメン」と注文してお金を払った。女性店員は、お釣りとベルを私に渡しながら「ベルが鳴りましたら、取りに来て下さい。」と無表情で言った。

 私は、店の前のテーブル席の椅子に座って待った。数分後、「ピッピー、ピッピー」と電子音が鳴った。

 私は、女性店員の所へ行ってベルを渡した。

「お待たせしました。気をつけてお運びください。」と女性店員は無表情で言った。


 テーブル席に運ぶと私はラーメンを眺めた。

「懐かしい…」と思った。

 私は、ここのラーメンを月に一度は食べているのに毎回こう思う…

 そして、私はラーメンフォークを手に持った。これも「懐かしい…」

 ラーメンフォークとは、スガキヤ独特のフォークでスプーンとフォークを合体させたものである。


 私は、このラーメンフォークでスープを掬い、口に運ぶ。「懐かしい…」

 スガキヤのラーメンは、和風とんこつ味である。豚ガラを煮込んで作るとんこつスープと魚介系スープを合わせて作っているのであるがやや魚介系スープの味が強い感じである。このスープが癖になり、月に一度は食べたくなるのである。

 特製ラーメンの具は、温泉玉子とチャーシューとメンマとネギだけである。このシンプルさも懐かしい…


 ラーメンを食べ終わって私は、お盆に乗ったどんぶりとラーメンフォークを返却口の棚に置いて、女性店員に「ご馳走さま。」と言った。

 すると無表情だった女性店員がニッコリと微笑みながら、「ありがとうございました!」と元気よく言った。


 フードコートを後にした私の身体が、元気になって行く感じがした…

「さぁ〜、午後も頑張ろう!」と私は、心で叫んだ…


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