第17話 山里ホルモンのミミガー
私は、駅を出た…
18時をかなり過ぎているが、まだ外は明るい。
夕方の会社での会議から解放されて、私の気分は上々であった。
家に帰る足取りは比較的軽かった。
「ミミガーを買って帰ろう!」
駅の二階からの歩道を降りる階段で私は思った。
そこから、数十メートルの所にその店はあった。
「山里食品」…通称、山里ホルモンと呼ばれている店だ。
いつもこの店の前は、ホルモン焼きを買う人の行列が出来ている。私も子供の頃から、ここのホルモン焼きを食べている。だが、ここ数年ここのホルモン焼きをあまり食べなくなった…ハッキリした理由はわからない。
でも、この店は私の家への帰り道沿いにあるので、よく買い物はする。買うものは、いつも同じ…「ミミガー」である。私は、山里のミミガーが好きなのだ。
私が店の前に到着した時、店の前には次のホルモン焼きが焼けるのを待っている人が4、5人並んでいた。私は、店頭の冷蔵ケースを覗いた。ミミガーがない…私は、店のおじさんに「ミミガーある?」と問いかけた。すると、おじさんは、店の奥の冷蔵ケースから幾つかミミガーの入ったパックを出し、私の前に持って来た。私は、230という手書きの数字が書いてあるパックを指さし、「この230円のやつ!」と言った。
そして、財布から230円ぴったり出し、おじさんに渡した。「いつもありがとうございます。230円ちょうど頂きます。」と大きな声で答え、にっこり笑った。
私は、何故だかとてもいい気分になった…
家に着いた頃には、辺りが少し暗くなりかけていた。
家に着いた私は、ビニール袋に入った新聞紙に包まれた包みを開けて、ミミガーのパックを取り出してから、冷蔵庫の缶ビールを持って来た。
そして、ミミガーを一切れ食べてから、ビールを喉に流し込んだ。
「最高!」と私は心の中で叫んだ…
山里のミミガーの食感と塩加減がとてもいい感じで、ビールとの相性が最高であった。
今日も一日終わったなぁ~と思いながら、私は疲れがビールで洗い流されていく感覚を楽しんだ…
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