第14話 熟成赤身ロースステーキ

 青空が広がった気持ちのいい朝、私はある病院の駐車場にいた…


 この病院と午前中に打合せがあるのだが、少し早く着き過ぎたので、駐車場からの眺めを楽しんでいた。この病院は、高台の上にあり、結構見晴らしがいい…


 私は、下の道沿いにあるレストランに目が止まった…「ステーキガスト」という看板が見える。

「こんなところにステーキガストがあるんだ…」と私は、心で呟いた…

 私は、ステーキガストにまだ行ったことが無かった…

 そこで、私は思った。病院との打合せが終わったら、ランチに行ってみようと…


 病院との打合せは、予想以上にスムーズに進み予定時間より少し早めに終わった…


 私は、病院の駐車場から車を出すと「ステーキガスト」を目指した。

 信号待ちがあったものの2分程で到着した。


 まだ、少し早い時間だったので、店の駐車場はガラガラであった。私は車を止め入口に向かった。外は、ポカポカ陽気でバイクでやって来た二人の男が入口を入るのが見えた。今日は、バイクで走ると気持ちいいだろうなぁ~と私は思った。


 入口を入ると40前後のパートと思われる女性が、笑顔で迎え入れてくれた。そして、「お好きなお席へどうぞ。メニューが立ててあるテーブルが空いております。」とマニュアル通りの台詞で説明してくれた。私は、窓際の隅のテーブル席に座った。


 そして、ランチメニューを見た。一番に目に飛び込んで来たのは、「熟成赤身ロース」と書かれたメニューだった。美味しそうな肉が焼かれている大きな写真が載っていた。そして、肉の量とセット内容でいくつかのセットメニューが載っていた。私は一番シンプルなセットにしようと思った。シンプルと言ってもカレー・スープ・パン・ライスが食べ放題であった。価格もステーキのセットにしては、「999円」とリーズナブルな値段であった。


 私は、テーブルにある呼出しボタンを押して、店員を呼んだ。

 先程の女性パート店員がやって来た。私は、「熟成赤身ロース」150gのセットを注文した…

 店員は、「ドリンクバーは、お付けしますか?」とマニュアル通り聞いてきたので、私はいらない旨を伝えた。店員は、注文を繰り返し確認してから去って行った。


 私は席を立ち、スープと水を入れに行った。

 スープバーには、2種類のスープが置かれていた…中華風玉子スープとチゲスープである。私は、中華風スープを選択し、スープカップにスープを入れ、席に戻った。


 席に戻った私は、スープを飲みながら料理が来るのを待った…

 待っている間、私は想像していた。こういうチェーン店だと大抵出てくる料理は、メニューの写真とは全然見た目が違う料理が出てくるものである。だから、たぶんショボい感じの料理が来るんだろうな~と思った。その場合、カレーライスも食べようと思った。でも、おいしそうな感じだったら、パンだけを食べようと考えていた…


 そして、ステーキがやって来た…ステーキは、メニューに載っていた写真よりも美味しそうに見えた。素晴らしい焼き柄がついており、鉄板の上でジュージューという音をたてながら、焼けていた。私は、急いでパンを取りにバーに行った。バーに行くと、4種類のパンが焼きあがっていた。私は、気が動転していたのかパンを取った後、皿にライスを入れ、それにカレーまで掛けてテーブルに持って帰ってしまった。


 「間違えたものは、仕方ない…」私は、呟いた…

 そして、肉をナイフで切って口に運んだ。食感は柔らかいが噛み応えもある感じで、熟成された旨味が口の中に広がった…焼き加減もちょうどいいミディアムであった。

「これは、旨い!」私は、心で叫んだ!

 そして、パンも一口食べた…「これも旨い!」


 あっという間にステーキとパンを食べた後、少し冷めかけたカレーライスも食べ始めた。意外に旨かった。

 その後、チゲスープも頂いた私のお腹は、苦しいぐらいの満杯になった…そして、心も満足感でいっぱいになった。


 私は、水を飲んでからレジで精算して、店の外に出た…


 外は、相変わらずのポカポカ陽気であった…


「さぁ~、午後の仕事も頑張ろう!」

 いつになく元気な私がそこにいた…



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