第10話 スキンヘッドの男

 私が自宅のパソコンに向かった時、突然ピンポーン!とインターホンが鳴った…


 モニターを見たが体の一部しか写っていなかったので、誰なのか確認出来なかった。

 私は、「はーい。」と言ってインターホンに話し掛けた…

 相手は、「ゆ✕✕です。」と言ってきた。男の声であったが、活舌が悪くよく聞き取れなかった。

 仕方なく私は玄関の戸を開け、門の向こうの人物を見た…

 すると、その男は、「これ差し入れ!」と言ってビニール袋を2つ私に渡してきた。そして、「家呑みしてると思って…」と続けた…

 その男の頭はスキンヘッドであった…


 そのスキンヘッドの男は、頭とは対照的にかわいい笑顔を見せた…私は、呆気にとられ「ありがとう!」と言うのが精一杯であった…


 男は、すぐに自転車で過ぎ去って行った…

 男の名は、「百合ちゃん」…ヤクザではない…友達である…


 自転車で過ぎ去って行くスキンヘッドの百合ちゃんの後姿を見送りながら、心が温かくなるのを感じていた…


 百合ちゃんが渡してくれた袋の中身は、缶ビールと「ひよこのケーキ屋」の抹茶プリンであった…



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