第7話 一人家呑みの果てに…
仕事が終わり、私は妻に携帯で電話した…
電話に出た妻は、「はい。」と返事して私が話し出す前に「今日、病院」と言ってきた。私は、「そうか、わかった。」と言って電話を切った。
今夜は、一人で夕食を食べる日だったことを思い出した…
どこで食べようかと考えながら少しウキウキしている自分に気が付いた…
久しぶりに馴染みのお好み屋に行こうか寿司屋にしようかと頭の中で思いを廻らした。考えているうちに駅に着いた…
改札を抜けて階段を上がりホームに出た。すぐに西明石行きの各駅停車が駅に入って来た…その時である。私の頭にある思いが過った…
そして、一駅電車に乗っている間に決心した。
今夜は家でおとなしく一人で家呑みにしよう…
頭に過ったのは、明後日の日曜日のことである。
そう明後日は、馴染みの店主催のカラオケ大会があるのだ…参加表明した時には、事情があり参加できるか分からなかったが、今のところ何とか参加できそうな状況である。それを今夜呑みに行って失敗して妻の機嫌を損なうのは絶対に避けたいところである…
今までもそれで失敗して何度か数か月の外呑み禁止令が出たことがあるのだ…
改札を出ると駅の構内にあるコンビニに入った。そして、総菜をいくつかと缶ビール、缶チューハイを買った。
家に帰り早速買ってきた総菜を電子レンジに入れてから、野菜スティックをつまみに缶ビールを開けた…そして、ビールを一気に喉に流し込んだ。「クっー、たまらない!」私は、心で叫んだ!
まもなく、チンっと電子レンジが鳴った…私は、温めた中華炒めを一口食べた。ふわふわ卵とキクラゲの調和された感じが何とも言えず旨い。私はこの中華炒めが大好きである。いつもコンビニに行くたびに買ってしまう。
少しほろ酔いになった私は、頭の中で考えた…明後日のカラオケ大会のことをまだ妻に話していないのだ…どう切り出したらいいのか?
妻は、怒ると典型的なヒステリーになる…そうなるとかなり厄介である。
そんなことを考えていると玄関の戸が開く音が聞こえ、妻が帰って来た…
私は、切り出せずにいたが、先ほど思いもしない展開で解決したのである。
妻が帰って来てから、録画していたドラマを一緒に観た。ドラマが終わって呑むのをやめ、私はパソコンに向かい、この文章を打ち込み始めたのだが、集中していたのだろうか?全く気付かなかった…この文章を覗き見されていることを…
その結果、説明する必要が無くなったのである…
これで心おきなく、カラオケ大会に行けそうである…文章を書くというのもいいものである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます