第6話カメラ
昔から私は、鮮明に悪夢を見てしまう時がある。目覚めると服が汗で湿るほどであった。
どんなに楽しい一日を過ごしても、悪夢が治まることはなく、月に四五回は見てしまう。
静かに寝たい、そんな平凡な一ヶ月を過ごしたい。
そんな夜中のこと、遅れがちの仕事を終わらせたのは十二時半を過ぎていた、
「お風呂にも入ったし、寝るか」
疲れたせいか、ひとり言を言いながら、寝床に着いた。そのときである。
ドンドンドン
ドアを叩く音が聴こえてきた。
「すいません夜分遅く、こちらに村上 彩芽さんはおられますか?」
「誰ですか?こんな夜中に?」
「あなたのお困りになられている問題を解決してあげようかと思いまして、悪夢ですよ時々見られる」
「なっ・・・何で知ってるのよ、誰にも話してないのに」
「ですから、あなたのお力になるために私が一つプレゼントをいたしますね。」
ガタッと何かがポストに入る音がした。
「これは、あなたに幸せをもたらす品物です、ただし、注意事項だけは守っていただきますよ。それでは・・・」
先程までの人の気配がなくなると、私はドアの方に近づいた。
錠をつけたままで 、少し開けることにした、やはり誰の姿もなかった。
先程のことは夢ではないかと、少し安心ながらも、 ポストの中を見て、一瞬動けなくなった。
あるのだ先程の謎の声が言った贈り物が、茶の包み紙に包装された四角い箱がそこにあったのだ。
普通の女性なら、躊躇なく警察に届けるだろうが、私はそんなことはしない、何故なら、つまらないからだ。
これほど、恐ろしい思いは多分そう訪れることではないからだ。
私は、包みを開けて中身を見た。それは、今少しばかり再ブームし始めている(ポラロイドカメラ)であった。
ただのカメラに、誰が喜ぶと言えるだろうか?あれだけの恐怖を煽りながら、たかがカメラ一台なのだ。
椅子に座りため息をつきながら、包みを確かめると、一枚の紙が入っていた。
これは、あなたの悪夢を取り祓うカメラです。寝る前にカメラで自分を撮します。 そこであなたの姿のまま写れば、悪夢はありません。しかしなにか写れば、そこに写った映像を夜に観ることになります。
ただし、枕の下に現像された画像写真を置き、そのまま寝ると悪夢を観ずにすむのです。
ただし、このカメラを決して他人に使わせてはいけません。大変なことになりますからね。
それから、カメラを使ってみた。ただ私がうつっているだけだった。
「単なるカメラじゃん」
私は机に置いて寝た。だが、効果が現れたのは三日後であった。写真には不気味な画像が写り、それは私が首が切り取られる画像であった。
その画像を枕の下に奥のは、やはり不気味ではあるが、悪夢を観ずにすむのであれば、私は枕の下に置くことにした。
すると、悪夢を観ずにすんだ。それから事故や人の死・殺人 そんな夢を観ずにすんだ。
それは、私に救いであった。いつもいつも眼にクマをつけていた私の顔がスッキリしている、
友達からも、雰囲気変わったねって言ってくれた。
元気になった私に恋人が出来た。家に上がってくれたのは、付き合って一ヶ月のことであった。
普段から人を寄せ付けなかった私だが、今私の横に彼がいる。
彼は、悪夢に使うカメラを私に向けて一枚撮した、
「あっ・・・」
私は、注意事項を思い出した。彼は出てきた写真を取り出して見ているところであった、ジリジリジリ見知らぬ音がなった私の携帯でからだ。
出るつもりはないが、私の手が勝手に携帯を取り電話にでた。
「あなた、約束を守りませんでしたね、人に使わせたらダメといっていたのに」
「仕方ないでしょう、勝手に使われたんだから 」
「そんなことは知りません、注意事項は絶対です、」
その言葉とともに電話が切れた。
「彩芽、なんか変な写真とれたぞ、」
彼が見せたのは、私が飛び降りる画像であった。
だが、彼には「悪夢を観ないため」って言って枕の下に、 写真を置いた。
二人初めてのお泊まりに緊張して眠れなかった。
彼氏はドサッと音が聞こえ目覚めた、彩芽がトイレにでもと思っていると、彼女の姿はベランダにいた。
何しているのかと、フッと見ていると、ベランダから下に落ちたのである。
その後、一命は取りとめたが、それから彼女は気が狂い、どうにかすると屋上から落ちようとしたり、自殺願望が激しくなっていた。その後、拘束され自殺させないように、ずっと施設での監視になっている。
完
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