12話 天才少女は告げられない


その後も買い物タイムは続き、しかし美鈴と片岡の進展はと言うとほとんどであり・・・

そのまま17班はお昼ご飯タイムを迎えることになる・・・


そして今、麗加と美鈴はコソコソ作戦会議を招集中である。


「いいすずちゃん、次はお昼ごはんチャレンジだよッ!?さっきはほとんど失敗みたいなものなんだから挽回しないとッ!!」コソコソ

「えッ、そんなにダメだった・・・!?」コソコソ

「ダメではないけど押しが足りないのよ!ぼっしーくんも手伝ってくれるらしいから頑張ろうよ!!」コソコソ

「えッ!?///ぼっしーもこのこと知ってるの・・・!?」コソコソ

「私が話したから。」コソコソ

「ちょッ!れいちゃんひどいよ~!!」コソコソ

「いいの!!とりあえず今度こそは昨日通りによ!!」コソコソ


そして会議が終了したのか、すると麗加は知人の方を向いて首を縦に振った。多分なにかしらの合図だろう。

・・・はいはい、分かったよ


「なぁ片岡、そろそろ飯にしないか?俺結構腹減ってきてるんだが。」


「あぁ、丁度俺もさ。じゃあそこにしないか?」


「そうだな。今の時間帯はそこまで混んでいないみたいだし。」


そうして17班の昼飯場所は信州そば屋さんに決定・・・

・・・したと思ったが、


「」フリフリ


どうやら麗加さまがお呼びのようだ。


「・・・なんだよ、ちゃんと飯の話題に転換したぞ?」コソコソ

「ちょッ、ぼっしーくん『そば屋』じゃなくて隣のオムライスレストランにしてッ!!でないとシナリオが崩れちゃうわ!!」コソコソ

「え、隣か?でも人並んでるぞ?」コソコソ

「いいからッ!!」コソコソ



というわけで先程のは訂正。

そうして17班の昼食場所はオムライス店『オムの館』に決定。何と待ち時間30分だがな。


そして少し暑い外の中立つこと30分、俺達はようやく店内に入ることが出来た。


「オムライスなんて久しぶりだな~。小学校以来なんだよなオムライスは。」


「え、片岡オムライスそんなに食べてないのか?」


「あぁ、最後に食べたのなんて美鈴のお母さんの手製で美鈴との時だからな。しかも小学5年生の時だったっけ美鈴?」


「う、うん・・・(覚えててくれたやったー!!!)///」


「でも美鈴ってオムライス好きだったっけ?あの時あんま食べてなかったような・・・」


「す、好きだよオムライスは!ただあの時は調子悪かったから・・・」


「あ、そうだったな。あの時って美鈴が風邪引いたときの見舞いだったな。確かに食べられなくて当然だよな~」ハハッ


そしてオーダーを手際よく済ませ、その10分後には4人全員分のオムライスが目の前に到着した。


「おー結構おいしそうだな・・・」

「あぁ、ぼっしー早く食べようぜ!」


二人がスプーンを手に取りオムライスをすくおうをした時、


「ちょっと待って二人とも!」


と言って麗加が取り出したのは二本のケチャップ。

あ、なんでオムライス店にしたかったのか・・・これですっきりした


「二人のオムライスにケチャップをかけてあげるわ!すずちゃんは片岡くんのにお願いね?」

(すずちゃん!!これでオムライスに気持ちを込めるのよ!!そのまま『好き』って書いてもいいんだからねッ!?)



そして二人のオムライスに描かれたものとは、

一つは似顔絵・・・というか肖像画。共食いでもさせたいのかコイツは。

なんともまぁ知人の顔をリアルに描きましたなぁ・・・まぁもちろん描いたのは麗加である。


そしてもう一つの方は・・・


『オムライス』


いや分かってるわ、それがオムライスだってのは分かってるから

麗加はすぐさま緊急招集


「な、何で『オムライス』なんて書いちゃったのよッ!?そんなの誰でもわかってるわよ!?」コソコソ

「だ、だって緊張しちゃって・・・///」コソコソ

「いやいくら緊張してても『オムライス』はないわよッ!!」コソコソ




そんな訳でお昼ごはん作戦、失敗・・・





♢ ♢ ♢ ♢ ♢


そして食事を済ませた17班一同。今度は電車に乗って懐古園を目指す。

懐古園は小諸地区の観光スポットとして有名であり、訪れる観光客もなかなか多い。

近くには動物園もあり、小諸城址と合わせて見ることが出来るお得スポットなので、ここまで人気が出たのではないかと思われる。(知人ペディア調べ)


というわけでドキドキ大作戦その3・『懐古園デート』、開始 ―――


「ぼっしーくんいい?さりげな~く片岡くんとすずちゃんを二人きりにするのよ?そ~っとね?」コソコソ

「あ、あぁ・・・分かってる。」コソコソ

「・・・じゃあすずちゃん、頑張って!!」コソコソ

「う、うん・・・」コソコソ



そして10分後、二人は難なく自然に二人きりに。

そしてその後を追う麗加と知人。


「な、なぁ・・・さすがにここで二人きりはハードル高いと思うんだが・・・?」


「え、どうして?」


「だ、だってここにいる時間は結構長いし、さっきの時だって短い時間であんな感じだったから難しいんじゃないかと思うんだよな・・・」


正直、美鈴がここまで好きな人の前では点でダメになるとは思わなかった。少し・・・いや、かなり意外だ。まぁ会ってまだ一週間ほどだが・・・

でも心なしか、麗加の表情は「大丈夫よ?」といているように見えた。


「大丈夫よ?すずちゃんにはある特性があるの。」


あ、大丈夫って言っちゃった。ってか特性?何それ?


「すずちゃんはね・・・動物が大好きなのよ!好きなものの前では羞恥心なんて消えるでしょ!?」


「そ、そんなものか・・・?」


と言って前方の二人に目をやると・・・




「わぁ~!!ワンちゃんだ~!!」キラキラ


「ははッ、確か美鈴は動物大好きだったな。でも確かにこの犬は可愛いな・・・まぁ問題なのはその犬がよそ様の飼い犬だってことだけどね。」


「ねぇ?すずとこのワンちゃん、どっちが可愛い?」


「う~ん、まぁそれだったら美鈴かな?服装でポイント稼いだな!・・・でもあまりこういうのはちょっと・・・飼い犬だし・・・///」


「わぁ!ありがと~って何『ポイント』って!?」



・・・


いや、ここまで変わるモノか普通?


「ね?すごいでしょ?おそらくすずちゃんにしかない最高の特性だわ!」


「いやしかしな・・・いくら好きなものがあるからってあそこまで態度はかわr ―――(チラッ)



『懐古園限定!!ORE内のオリジナルモンスターをここでゲット!!』ババーン!!



ッ!!!!!




「な、なにッ・・・!?『限定モンスター』ッ、だと・・・!?」


さらにそのポスターをじっくり見る知人。

すると下には、『モンスター配信は懐古園石垣下で行います!』の一文が。

ここは入り口付近の弓道場。


「お、おい麗加ッ!!いますぐ行くぞ!限定配信だぞ!時間は有限だ!」ババンッ


「見事な手のひら返しね・・・」



と、途端に態度が変わってしまう知人を見て、やっぱ私の言うことは間違いなかったわと確信する麗加であった。





結果

ドキドキ大作戦・『懐古園デート』編、まぁまぁ成功・・・?




♢ ♢ ♢ ♢ ♢


「・・・で、明日は確か『ハルニレテラス』・・・だっけ?そこだったよな。」


『えぇ、デートスポットには絶好のロケーションだと思うの。すずちゃんも行きたいって言ってたでしょ?』


『ま、まぁ行きたいな・・・特にたけちゃんと・・・』


今の時間はホテル内の夕食を終えてそれぞれの部屋で自由時間(ただし男子は女子のエリアに、女子は男子のエリアに立ち入ることはできない)。

ちなみに今3人はORE内でフレンドチャットルームを作り、そこで明日への作戦会議中だ。


『それとぼっしーくん、まさか片岡くんにこのチャットを見せてるんじゃないでしょうね・・・!!!』


なんかそんな文字から無限の圧力を感じるんだが・・・


「・・・あぁ、問題ない。今はあいつもゲーム中だ。」


『たけちゃんに聞かれたら明日顔見せられない・・・////』


『それもダメなのだけれど・・・まぁ、それで明日は結構攻めていくわよ!!なんせ明日の夜は勝負なのだから!!』


あぁ・・・確か明日の夜は本校恒例の『告白祭り』だったな。まぁ祭りではないけど。

まぁ片岡は人気がある(と思う)から、ひょっとしたら明日の夜に片岡の元に他の誰かが・・・ということも考えられなくもない。だって片岡は良いやつだから。


「・・・まぁ確かに明日は勝負になるな。片岡結構人気あるし、早めに取っとかないと逆に取られるぞ?」


とチャットを打った瞬間、丁度上の階からドンッ!!って音が。

まぁ多分この人(=美鈴)だよね・・・?

ちなみにここは5階で、上は女子エリアの6階である。


『そッ、それホントぼっしー・・・!!??』


「あぁ、本当だ。実際行のバスで片岡は早速女子の株上げてたしな。まぁ本人に自覚はないが。」


・・・そのような無自覚な優しさというのが最も女子の心に響くという法則を知っているだろうか。そんなリア充スキルを有している片岡、ひょっとしたらあの松本より恐ろしいヤツかもしれない・・・

いや、片岡は実際リア充なのだ。しかし本人がそれを自覚していないだけで、現にコイツを好きな人はこのチャットの向こう側にいるわけだし。



『えぇぇぇぇ~~~~!!!???それヤバいじゃんッ!!』


『そうよすずちゃん!!だから明日が勝負だよッ!!ぼっしーくんも手助けしてくれるんだし、頑張らなきゃ!!』


と、こんな長文ここでチャットするくらいなら直接言った方が早いとさっきからずっと思いますけどね・・・

だって君たち部屋友でしょ?


『うんッ!!頑張るッ!!二人とも明日も宜しくね!!!』


と、まぁ美鈴の方もやる気になったようだし、いいか。

それよりも今はこれがしたい気分なんだよな。


「なぁ、この後OREで通信対戦しないか?」


『お、いいねぼっしー!!景気づけに一戦やろう!!』


まぁここでわざと負けてあげて、美鈴には明日へ弾みつけさせてやるか

・・・あれ、そう言えば麗加のアカウントは運営部にあるんだったな。


『大丈夫よ。私は私で個人のアカウントを最近立ち上げたわ。今はまだレベル94だけど遅れは取らないわ。』


「お、お前すげーな・・・短期間でよくレベル1から94まで伸ばせたな・・・」


『何言ってるの?私はこのゲームの開発者よ?当然だわ。』


「へいへいそーですかッっと・・・・」



それから一戦と言っていた通信対戦はなんと5戦程まで続き、さらに3戦目くらいにはなぜか『アルフィ@天翔ける剣ほすぃー!』というアバターまで参戦してきて、とにかく今日のOREは予想より少し白熱したものとなった。

てか天翔ける剣はもう手に入らねーよ




さぁ、明日は3日目!美鈴のためにもうひと頑張りするかッ!!









「片岡、お前行きのバスでリア充になりたいって言ってたけど、ひょっとしたらできるかもしれんぞ?」

「えッ、マジで!?」





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