10話 修学旅行は班決めが一番盛り上がる
さぁ、答えは・・・?
「うん、やってるよ!!今レベル129!!」
お、お、同じぃぃぃ~~~~!!!!
まさかの俺とレベルが同じ!
「じゃ、じゃあフレ登録しないか!?」
「うんいいよ!!はいこれすずのスマホ!」
そうして知人は美鈴のIDを交換、アバター名は『すずちゃん』。この部の中で一番普通なネーミング、まぁうち一人は願望書いてるだけだけどね・・・
軽く美鈴のアバターを見ていると、職種と使用武器以外全て知人のと同じ数字であることには少し驚いた。普通はこのようなことはなく、非常に珍しい。
だから、少し興味もわいてくる。
「なぁ美鈴、俺と通信対戦しないか?」
「えッ、いいの!?やったー!!やろうやろう!!私ルーム作るね!」
この流れだとおそらく佐之味美鈴もORE強いはず。だってeスポーツの部員はたいていORE強そうだしな(顧問は除く)。
前まではなんかいやだったけど、今はそれが少し楽しみでもある。
機械マニアでプログラムの天才なんだから、きっと美鈴もかなりの腕のはずだ。レベルも同じだし、これは期待が持てる。
タイムアタックではなくアバター対戦で実力を見てみよう。そして良さげな箇所があったらその技術を盗んでいこう。
「よし、じゃあやるか!」
そして、結果はというと・・・
「く~!!また負けた~!!」
何と知人の圧勝。
しかもたったの9秒で決着がついてしまう始末。
「すずちゃん全然チカラついてきてないじゃない・・・この前あれほど教えたのに無駄な時間を過ごしたものだわ・・・」
「え~れいちゃんひっど~い!!私も頑張ってるのに~!!」
・・・どうやらこの佐之味美鈴、負け戦を万回以上やった結果、知人と同じステータスまで登り詰めていたらしい。OREでは負けた方にも多少の経験値は入る仕組みになっているが、まさかほとんどがそれでここまで上がったとは・・・
・・・しかしこの一戦、知人にとっては価値のありそうなものにもなっていたこともまた事実。
それは、『先制攻撃の方法』である。
「(あの先制攻撃は少し使えるかもな・・・)」
大会の時のマグレイオス戦でさえ1ダメージも受けなかった知人が、美鈴の先制攻撃は防げなかったようだ。
開始と瞬時に相手の懐に迫りくるような攻撃方法、あれには少し戸惑ってしまったからな。
「・・・まぁ楽しかったよ、さんきゅ美鈴。」
「!!もうぼっしーやさしー!!ありがと~!!」ダキッ!
美鈴は勢いで知人に『ダイビング抱きつき』発動!!知人に『頬を赤らめる』のダメージ!!
「ちょ、おまつ、やめろッって・・・!!抱きつくなッ・・・!!」
「あ~ぼっしー顔あかい~!!なぁに?恥ずかしかったの?かわい~!」
「う、うるせッ・・・///」
ホント、佐之味美鈴は色々な意味で先制攻撃が得意なんだな・・・としみじみ感じた瞬間であった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
あれから時間はしばらく経ち、
快司もあれからすぐに部室に入ってきて、今は知人・麗加・快司・美鈴・さとch「その名で呼ぶなッ!!///」・・・松尾先生の5人だ。今はそれぞれやりたいゲームをやってアクションの練習中。
プレイしたゲームがひと段落ついたのか、不意に美鈴が思いつきでなにか話し始めた。
「・・・そういえばさぁみんな、修学旅行の班って決まってる~?」
我が陽明館高校は6月の下旬に軽井沢へ修学旅行というイベントがあるのだ。
・・・いや軽井沢で何を修学するんだよ?『セレブの余暇の過ごし方』しか修学できる気しかしねーよ
しかもその中のイベントというと避暑目的やアウトレットで買い物、あとは小諸城などの歴史的建造物を拝見など・・・まぁ要約すると、我ら高校二年生は軽井沢へ”遊びに行く”のだ。しかも期末試験2週間前という少しシビアな時期にである。
うちの学校って一応名門進学校なんだけどこういうところはマジで・・・・・って感じ
「まぁ班員決めは明日のホームルームだから早く決めとけよ~・・・」ピコピコ
「れいちゃんは誰かいる?」
「わ、私?まぁ、今はまだいないけど・・・」
「そうなの!?じゃあ一緒に行かない!?確か違う組の人でも組めるみたいだし!ねぇいいでしょ!?」
「え、えぇ。まぁ・・・そこまで言うなら組んであげるわ。・・・もう、すずちゃんったら仕方ない子ね・・・」
「あれ?確か明石、『私は佐之味さんと組むわ』って前に教室d―――
「先生少し静かにしていてください」ババッ
「はッ!!、はい・・・」
最近この流れって結構気に入ってるんだよね、特に後半が面白くて(笑)
「ブルーくんは決まってる人いるの~?」
「俺か?まぁまだ一人しか決まってないけどな・・・」
『ブルーくん』とは、快司が知人を呼ぶときのあだ名だ。アバター名が『神格のグランブルー』だから略して『ブルーくん』。
ちなみに決まっているもう一人とは片岡である。松本はというと、ヤツはそのままリア充グループに誘われてあっちに行ったらしい。
松本は結構知人達といる時間が多いが、実は野球部のエースで成績優秀の彼女無しイケメン高校生であり、彼女はいないが決してモテない訳ではない・・・いや逆にモテている。彼女を作らないだけでモテているヤツである。クソッ、爆発しろッ!!!!
「ふ~ん、じゃあ問題なさそうだね~。」
「なに、ひょっとして快司、俺達のグループに入りたいのか?」
「いや、ただブルーくんがぼっちにならずに良かったね~って思っただけ。」
「なんだそれ・・・」
皆はまだ知らないと思うけど、実はこの西京快司はというと2年D組のアイドル的存在で地味に人気があるやつなのだ。このおっとりしているのに成績はなぜか上位、しかもルックスもほどほどに整っているので男女へだたり無くモテているのだ。まぁ知人達B組で言うところの松本みたいな存在、それが西京快司という男である。
クソッドイツもコイツもモテやがって・・・!!!!とっとと爆発しろッ!!!!
「あぁ、全くその通りだ飯田ぁ・・・!!!」
と、なぜか全く関係のない松尾先生がなぜか声も発してないのに共感していて血の気が引くほど怖いんだが・・・
「ちなみに僕はもう決まってるよ~」
だろうなッ!!このリア充野郎がッ!!
「あー、ちなみに今度の班決めは男子2人女子2人の4人班だからな。今年の高校二年生は丁度男女の人数が偶数で同じだったからな、このような人数になったわけだ。」
「さとちゃん僕それ知ってるよ~?」
「だからさとちゃんやめろッ!!///」
・・・ということは快司のヤツ、もう女子のメンバーも決まってるのか・・・さすが地味にリア充男・西京快司。
「さとちゃんそうなのッ!?じゃあぼっしーたちと組みたいなぁ!!」
こういう時にこういうことを言ってくれるから佐之味美鈴という女の子は助かる・・・みたいな表情で美鈴を見る麗加、を見る知人。
なんだか麗加の方もそれで良さそうだ。
「・・・なら俺達と班組むか?」
「うん!!」
「まぁその方がいいわね。」
「決まりな。じゃあもう一人にも伝えておくから。」
「ぼっしー、そのもう一人って誰なの?」
「あぁ、同じクラスの片岡
知人がそう言った次の瞬間、急に美鈴の反応がコロンと変わってしまう。
「へぇぇぇぇ!?///か、片岡くんなんだね~///!!大丈夫だよ~~!!///////」
「ど、どうしたんだ美鈴?なんか変だぞ。」
「いいや別に!!何でもないよ~!!///」
急変した美鈴の反応に困っていると、麗加が隣でヒョイヒョイと手招きをしている。
どうやらこっちに来てと言いたいみたいだ。
「ど、どうした?」
「知っておきなさい。すずちゃんはね、幼馴染の片岡くんが小学校の時からずっと好きなのよ。片岡くんには秘密にしておいてよね。」コソコソ
「だからあんなに焦った反応を・・・」コソコソ
「でもぼっしーくんやるじゃない、すずちゃんが告白できるような環境を作るなんてね。」コソコソ
「不本意だ・・・でもそれ最後は本人次第だろ?小学校から伝えられてないってことは難しいんじゃないか?」コソコソ
「えぇ、だからそろそろ殻を破ってほしいのよ。」コソコソ
「ふ、二人ともどうしたの~?」
「「何でもない(わよ)ッ!!」」ビクッ
こうして無事班員も決まった知人、次の懸念点と言えば・・・
・・・やはり
「(どうやってゲーム機を持っていこうか・・・!!??)」
それから修学旅行までの4日間、知人はゲーム機をいかにバレずに持っていくかを十分に作戦を練っているのであった。
まぁそれは当日、松尾先生にすべてバレて没収されたが。
いよいよ修学旅行が始まるッ・・・!!!!
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