第20話 貴女の為に贖罪を
「だからこそ、アーガストを用意出来るのは貴様しかいないんだよ。ローラ」
「私は、種なんてお父様から頂いた事がないわっ!」
しまった。
無実を叫んでしまった後に、はっとする。
ここでの弁解なんて、何の意味を持たない。逆に疑惑が深まる。
違う。それなら、タクトだって用意出来るじゃないかと、無知に振る舞うべきだった。
想定外の事に、本音しか飛び出さないこの口を今は縫い付けたい気持ちがこみ上げる。
もらった事実ではなく、私は無知である事。そして、種から薬物を生成技術を持たない事を主張しなければならないのに、初手からのミス。
不味いぞ。これは明らかに、自分の首を絞めてしまった。
「しかし、お前はこの小瓶を探していたじゃないか」
どうする?
何といえば、無実を主張出来る?
「お前は、父親からアーガストの話を聞き、種から薬物を生成。そして、誰かの食事に混ぜたのだろう? アーガストは無味無臭だ。飲み物に混ぜても気付かれることはない」
だから、あの女はアリス様の食事に!?
いや、いまそれを知ったところでどうしようもない情報だ。
「これは、お前しか出来ない事だ。だから、お前が犯人なんだよ」
糞っ! 何か言わなきゃいけないのに、言葉が出てこないなんてっ!
違うと、言え! いや、言ってどうする? 何か、何か言わなければ。
私はスカートを握りしめて、必死に言葉を探す。
「だが、しかし。それだと説明がつかない事が起きた」
「え?」
タクトの言葉に思わず顔を私は上げる。
「説明がつかない?」
「俺たちはどうやら、壮絶な思い違いをしてすれ違ってる。いや、それはもうお前は気付いているな。情報を小出しに聞き出そうと、せこい手を使ってるのが、良い証拠だ」
「……どう言う事?」
「結論から言えば、お前は犯人ではないと言う事だ」
「っ!?」
タクトが、私と同じ結論を導き出した。
それは、確かに正解だ。でも、どうして? 何故、その結論に行き着くのだ。
「ローラ・マルティス。ここは、お互いに腹を割って話さないか? 取引だ。俺をそちら側に入れるのならば、お前の今疑問に思っている事、全てに答えをくれてやろう」
こちら側という事は、タクトは私達の仲間になりたいという事か。
何故だ。王子の側近である彼が我々に媚びた所で旨味はないはずだ。逆に、中から牽制を? どれこそ、どこまで遠回りなんだ。
一体、何が狙いだ?
「断ると言えば?」
「お前の首は明日の朝には取れている事だろうな」
そう言って、タクトは笑う。
ランティスが切り出した取引とは随分と違う。これは、最早脅しだと言うのに。
どうやら、こちらに選択肢はないらしい。彼の真意を考えるのも時間の無駄だ。
「分かったわ」
「ローラ様、この眼鏡を信用するだけの証拠がありません。危険です。ここで眼鏡の首を切れば良いだけの話だ」
「ローラ、俺もフィンの意見に賛成だ。首を斬るのは駄目だが、この件なら俺の首でも賄える。判断を誤るな!」
「フィン、ランティス様。確かにお二人の仰ることは分かりますが、私は二人を守りたい。私の為に、ランティス様もフィンも危険に晒したくない。それに、タクト様は真実のみを見据えている。私はその姿勢を信じたい」
私は一歩前に踏み出す。
彼は、真実に真摯だ。薬物に対しての真実にも、私達が犯人ではないと断言している今も。
真意は分からないが、味方となるなら文句はない。その真摯な対応を信じ、ここは利用させてもらおう。
「俺が信用出来るだなんて、おめでたい頭だな」
「ええ。おめでたい頭なので、貴方の考えがわかるみたいだ。私達は似ているのかもしれませんね?」
「はっ。貴様は冗談も言えるのか。喧嘩を売るだけの才かと思っていたよ」
「眼鏡、お前はどうやら余程死にたいらしいな」
「フィン。タクト様は此方を信頼している。私が犯人ではないと、確信を持っている。乱暴はやめて差し上げて」
軽口を叩けるほどの信頼を、タクトは私に持っている。
どうやら彼の中では、私は完全に犯人から除外されたらしい。
いや。待てよ。冗談?
タクトは何処でお互いの思い違いに気付いたんだ? 私は話に乗っていた。それに矛盾はなかったはずだ。だとすると、最初から? あの茶番から? となると、話が違ってくる。
まさか……。
「何で、タクトを信頼出来るんだ? 昼間、お前はこいつに殺されそうになったんだぞ?」
「ええ。そうですわね」
「殺されたかけた相手を信用するなんて、おかしいだろ! タクトは、俺の友達だ。ここにいる誰よりも、兄貴よりも、タクトと俺は一緒にいた。だけど、昼間の一件は、そんな俺でさえこいつを信用出来るか疑問に思う程だぞ!」
「ランティス様。私の首を断とうとしたのは、ティール王子であって、タクト様ではございません」
「その様に仕向けたのはタクトだろ!」
「でも、彼自身剣は持たなかった。思い違いはそこからですね。彼は、私が王子にこの毒を盛ったと思っている」
「なっ!?」
タクトの行動は、一貫していたと言えば、一貫していた。
私のおめでたい頭に湧いたこの考えが正しければ、彼は……。
「貴方、私にティール王子を殺させようとしていたでしょ?」
「ご名答だ」
スタンディングオベーションだが、乾いた拍手を頂いた所で嬉しくもない。
「……どう言うことだ? タクトは兄貴の家臣になる男だぞ!? そんな奴が、兄貴を……?」
「残念ながら、彼が思違反違ったようですね。タクト様、私は王子を殺す事はない。あの人に殺される事はあっても、私からはないですよ」
「その様だな。あれだけ場を整えたのに、お前は首を差し出すと言っていた」
「矢張り、アレはワザとだったわけですね。貴方にしては、おかしいと思いましたよ」
随分と、回りくどい煽りをするものだ。
「説明しろ。タクトは、兄貴を殺そうとしたのか!?」
「ランティス様、落ち着いてください。彼は私は何故か私の味方のつもりだったらしいのですよ」
おめでたい頭が出した答えは、実におめでたい内容だ。だが、それで辻褄が全て合う。
王子を唆した事も、アーガストを隠していた事も。
自意識過剰にも程があると自分でも思う。
でも、そうじゃないと可笑しいのだ。
タクトは、私の為に動いていたんだ
「その通りだ。貴様がこの学園に来たと知った時、ついにお前がティール王子の首を取りに来たのかと思ったぞ」
「何故、私が王子を?」
「貴様は十分に耐えていた。耐えていたのにもかかわらず、王子の貴様への対応は悪化の一歩を辿るものだった。この学園に貴様を入学させないように仕向けたんだ。貴様が王子に復讐を誓わせてもおかしくないだろ」
矢張り、私の入学を阻止していたのは王子の仕業か。薄々分かってはいたが、随分と嫌われているものだ。
悪役令嬢も楽ではない。
「婚約者に、いや。自分の父に使える忠実な家臣の娘にする仕打ちにしては、度が過ぎている」
「兄貴が、ローラの入学を……? でも、入学を決まるのは学園長だ。兄貴にそんな権限はない。言いがかりだ!」
「ええ。ランティス様の言う通りです。私の悪評が全ての元凶です」
「その元凶を、作り出したのは王子だろ?」
私は思わず口を閉ざす。それはランティスも同じだ。
「俺の父親はマルティス公爵と所縁がある。その縁で、公爵にも良くしてもらった。俺がアーガストを知っていたのも、公爵が行く国々で様々な薬草や鉱石を俺に土産として逸話と共に教えてくれるからだ。彼は、この国が誇るべき御人だ」
お父様が?
初めて聞く話だ。それもそうか。父は私を溺愛してくれているが、一緒に過ごせる時間はとても少ない。
旅の話よりも、父は私がどう過ごしていたのかを聞く時間を長く設けてくれた。
お土産は、必ず人形だ。女の子が好きそうな、私には決して似合わない可愛らしい人形をくれる。
喜ぶ歳でもないのに、父の中ではまだ私は年端も行かぬ少女なのだろう。
母も、そんな父を愛していた。
夫婦での会話は聞けないが、母も父に専ら私の事を話してくれていたのだろうな。だからこそ、父は私が本を読み出した時は話してもいないのに、とても嬉しそうに書斎の本棚を説明してくれたのだものだ。
そうか。
知らなかった父の一面を、この男は知っているのだ。
そして、そんな父の娘を、この男は……。
「ローラの噂はどれもこれも出鱈目なモノばかりだ。やれ、誰かを追い詰めた、誰かを公爵の力を使って殺した、爵位を剥ぎ取った。酷いものだ。あの公爵が、そんな事をさせるはずが無いのに。俺は必死に王子に訴えた。存在しない噂の令嬢だって調べた。だが、王子は一度も聞く耳を持たなかった」
そんな事が?
知らなかった。私が無実である事を知っている人間が、ランティス以外にもいるだなんて……。
「時を追うごとに、貴様の立場は悪くなる。それに便乗しようとする、女や男達は後を絶たない。そして、当の本人は一度も否定すらしてくれない。そんな中、ローラがこの学園に来たと知った後すぐに学園長から、とある女子生徒から取り上げた薬が、アーガストなんて、都合が良過ぎるだろ。だから、俺はローラの手助けをすると決めた。俺が止めれなかった償いを、今ここで果たそうとした」
一度も否定など、出来るはずがない。
だって、無駄じゃないか。
嘘だと叫んでも無駄じゃないか。意味がないじゃないか。
何の意味も持たない真実を叫んだところで、私また、傷つくだけじゃないか。
この世界に生まれ変わる前、私は何度も同じ経験をしてきた。何度も何度も。傷ついた。傷つくのは、痛い。痛いし、怖い。
最早、パブロフの犬だ。
どんな場面になっても、私の敵しかいない場所であれば私は事実を叫ぶよりも身を守る為に貝となる。
だから、知らなかったのだ。
私の為に、戦ってくれている人がいる事を。
「お前、そんな事で兄貴を!? 巫山戯るなよっ!」
「可笑しいだろ! 何故、国に尽くしている人間を蔑ろに出来る!? 王になる男だぞ!? 何故、周囲に惑わされる! ありもしない噂に耳を傾ける! 何故、真実を知ろうとしないんだ! 何故、彼女ばかりが負債を背負わされるんだ! 教えてくれよ、ランティスっ! どうすれば俺は正しかった!? 恩人の娘を、どうすれば俺は助けられたんだ!」
タクトは、お父様を慕っている。
タクトの過去は分からない。けど、きっと、この世界で誰よりもタクトはお父様を慕っている。
だからこそ、彼の名が私で汚された事に憤りを感じていた。それと、同時に、きっと無力な自分にも。
「兄貴が納得するまで話せばいいだろ! 諦めたのは、お前だろ! 兄貴が事実を飲み込むまで、お前がっ!」
「やってただろ! ずっと、ずっと! 王子に俺は話していた! なのにあいつは、次から次へと、新しい根も葉もない噂ばかりをもって王子の元にやってくる奴らに耳は傾けても、俺には一度も耳を傾けない!」
「そんな馬鹿なことがあるかっ」
「あるんだよっ! 何度言っても、大臣の息子である俺を信用出来ないと言ったんだよ! あいつは!」
タクトの叫びに、私の身体が動いた。
この人は傷つきたくないと隠れていた私の代わりに、ずっと一人で傷つきながら戦っていたんだ。
「ごめんなさい」
思わず、私はタクトの手を取る。
知らなかった。じゃあ、仕方がないね。そんな言葉が何の意味があるんだ。
そんな言葉で納得してしまう人間に、私はこの世界で成りたくない。
そちら側に、いたくない。
私は、タクトやフィンの様に、自分の正しさの為に、誰かの為に傷ついても構わず戦える人になりたい。
「ごめんなさい。私が、貴方を気付かなくて」
もし、一度でも否定していたら、未来は変わったのだろうか?
悪役令嬢ではないのに、そのレッテルを貼られた私の人生は、変わっていたのだろうか?
もし、私が勇気を持っていたら、アリス様はこんな事にはならなかったのではないだろうか?
私が……。
「ローラ、タクトから離れろっ。兄貴が、そんな事で人の話を聞かないわけないだろ! 兄貴は、次期国王だぞ!?」
「そうだ。だから、俺はローラに手を貸すと決めたんだ。内容ではなく、言った奴の身分で話を信じる信じないを決める王が、いてたまるか!」
「兄貴は、そんな奴じゃないっ! 弱き者を守っているだけだっ! ローラっ、こっちにこい!」
タクトから、私を引き剥がすとランティスが私を抱きしめる。
手が、震えてる。
信じていた実の兄が、こんな人間なんて信じたくないと、必死に自分を守る様に。
そうだ。ティール王子は、ランティスのたった一人の兄なのだ。誰だって、身内が悪者だなんて信じたくないだろう。
タクトのティール王子への怒りは、我々よりも真剣であり、気迫迫るものだ。
歳だって、ランティスはまだ十六ぐらいだろうに。一人で抱えきれるわけがない。
少しだけ、私が年上で良かった。前世の記憶があって良かった。私は、そんな貴方を支えることができるのだから。
「ランティス様。落ち着いて。確かに、貴方のお兄様は立派に責務を果たそうとしているけど、貴方も知っているでしょ? 彼が人の話を聞かないのは」
「ローラっ! お前までっ」
「だから、落ち着いて私の話を聞いて、ランティス様。タクト様は、確かに王子に疑問を抱いているけれども、今日迄それに手を抜いたことが無いのは、友である貴方が一番知っているはずですわ」
タクトはいけ好かない奴だが、だからと言って王子の命を狙っていたわけじゃ無い。
「王子は、私の声にも耳を貸そうともしなかった。残念だけど、それは事実。でも、王子は常に弱き者を守り、強き者を挫くと言う信念のもと、動かれてる。それが悪いわけじゃ無いわ。タクトだって、自分の話を聞かないから王子を憎んでいた訳じゃない。自分の尊敬する人間を蔑ろにされて怒っているだけ」
「……ローラ」
「人って、難しいの。何かが正しいからと言っても、その人が決して間違えないかと言えばそうでは無い。貴方の兄君は正しい所もあるけど、間違いもある。タクト様は、ずっと王子を憎んで殺したかった訳じゃないのは、近くで見ていた貴方なら分かるでしょ?」
ランティスは、タクトを見る。
「タクト様は、王子に死んで欲しい訳じゃない。ただ、間違えを正したかっただけ。正さなきゃいけない私の力になってくれただけの話。きっと、私が王子を殺そうとすれば彼は止めていたに決まってるじゃない」
「何で、何でそんなことを言い切れるんだよ。教えてくれよ、ローラ」
「貴方は私に言ったでしょ? 私がいい人だって。それと同じ。タクト様も、いい人よ。本当に私に王子を殺させたかったら、私にその毒瓶を返していた事でしょう。首を切れと言った時も、フィンが出てきて一番慌てたのは彼じゃない」
彼はいくつものチャンスを、自分で潰している。
私が王子に復讐するのは当然の報いだと言いながら、彼は彼の中で一番大きく迷っていて、誰よりも考えている。
きっと、どちらも本心で、彼は我々が考える以上に自分の事が許せなかったんだろう。
「ただ、王子を殺したいのならば、彼はいつだって出来たでしょ。それこそ、彼だってアーガストを持っている。それをしなかったのは……」
「ローラ、もういい。止めろ。ランティスには、俺を責める権利がある。無理に諭すな」
「タクト……」
「俺はランティスの言うように、反逆罪だ。それは変わらん。主を危険に晒していて、知らぬ顔だ。だから、お前はお前の思うようにしろ。俺に構うな」
きっと、その言葉もタクトの本心だ。
ああ、そうか。彼は……。
「ローラ、俺は……」
頼りなさげに、ランティスが私の名前を呼ぶ。
まるで、迷子の子供みたいに。
でもね。貴方も王子様でしょ? ランティス。
「……出過ぎた真似をしましたわ、ランティス様。私は、貴方の決断に決して責めは致しません」
「タクトは、タクトは友達で、でも、兄貴を裏切って殺そうとしてっ!」
「ええ。だから、彼も早く楽になりたいのですわ。誰かに、罰を与えて欲しい。誰かに責められて、無力な自分を早く消してしまいたい。そう思っていらっしゃるのです」
タクトとランティスが私を見る。
タクトは、まるで自分の気持ちを見透かされてしまった様に。
ランティスは、まるで自分の気付かなかった何かに気付くように。
意味の違う二つの視線が私を射抜く。
「彼を、楽にするのも、苦しめるのも、貴方です。ランティス様」
「……俺は」
弱さは罪だ。どんな時代でも、罪なのだと思う。それは力だけじゃない。心の弱さも、罪なのだ。
皆が弱さを隠して、怯えて生きている。現代だって変わらない。
だからこそ、その弱さを乗り越えた時に、人は前に進む事が出来るのだ。
それは、私も。そして、タクトも。
ランティスも。
「兄貴が悪いと信じたくない。けど、タクトも、友達だから、信じたい」
「うん。それで?」
「何で、兄貴は人の話を聞かなんだ。何で、タクトは、兄貴に分かるまで話さないんだ」
「ええ。そうね。じゃあ、どちらが悪いかしらね?」
彼を抱きしめながら、私は問いかける。
「……俺だって、タクトの話なんて聞かなかったし、兄貴にローラの話なんてしようとも今も思えない。タクトが悪いなら、俺も悪いし、兄貴が悪いなら俺も悪い」
「そうね。貴方も、悪いわ。そして、私も」
私は、ゆっくりとランティスから体を離す。
「何も言わない私も悪い。皆んなが悪いわね。でも、皆んなが誰かを守ってる。守る事は、悪くない。ねぇ、ランティス様。タクトは今救いを求めてる。自分の罪の重さで自分を責めて、守れなかった私と、守らなきゃいけない王子の狭間で揺れ動いてる。そんな自分を誰かに罰して欲しくて仕方がない。貴方なら、彼をどう助けるの? 教えて、王子様」
裁きを下せるのは、貴方しかいないのだから。
私がそう問えば、彼は少しだけ考えて口を開いた。
「……タクトを、罰さない。でも、罪は償ってもらう。もう、兄貴にそんな事をさせないように、俺が近くで見張る」
「それは困ったわ。ランティス様には、私の共犯なのに。新しい仕事を増やされてしまっては、私達のやるべき事が出来なくなってしまう」
わざとらしく、私が言えばランティスは叫ぶように声をあげた
「だから、タクトも今日から俺たちの仲間になるんだよっ! そんで、ずっと俺が監視する! それが、お前への罰だ! わかったかタクト!」
キョトンとしたタクトは、少し経って声を上げて笑った。
「わかった、わかった」
「とんだ茶番な事で」
フィンの小言は取り敢えず置いておいて、話はどうやら纏まったようだ。タクトが私達の仲間に入る方向に。
良かった、良かった。
「で、仲間になったのだからいい加減教えてくれよ。ローラ。貴様が何故この学園に入って来たのか。その目的を俺は知りたい」
「そうね。フィンも良い機会だから、聞いてくれるかしら?」
「ローラ様の命であれば喜んで」
「ありがとう。では、僭越ながら……」
こうして、私はタクトとフィンに自分の異世界転生の話をし始めた。
信じるか信じないかは貴方次第。でも、信じないからと言って逃しはないのだけど。
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次回は5月12日(日)22時頃に更新予定となっております。お楽しみに!
※諸事情で今回の土曜日更新なしとなります。
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