第6話

神家ルト


神家ルト「あぁー、そう言えば明日ってタケぽがこっちに遊び来るんだった!」

親友の健人が地元鳥取から遊びに来る日だったが非日常の出来事にあっていたルトはすっかり忘れていた。

親友の健人は、高校からの付き合いで卒業してからも地元に帰る度につるむ仲だった。

たまにはこっちに来いと東京に誘ったのをきっかけに健人もこっちに来る事には満更でもなさそうだった。


ルトは、社会人成り立ての頃アルバイトでバーテンをしていたのだがその時に出会ったある企業の社長令嬢から東京支店の話をよく聞かされていて東京にはえらく憧れを持っていた。まさか本当に東京に住むとは思ってもみなかったのだ。

地元鳥取には年に2回帰るくらいで東京での暮らしに満足している。住んでるマンションも2年と築浅物件で仕事柄もあってデザイナーズマンションだ。2SLDKの65㎡と間取りもいい。そして何より自分でDIYをしてビフォーアフターしてしまう程のつうであった。今流行りの北欧風に玄関、浴室、寝室に限ってはアジアンリゾートを意識した落ち着いた感じだ。

元々東京暮らしに憧れが強かったのもあり、そいうところに妥協はなかった。


能力の事が気になっていたルトは眠る事に少し警戒していた。察していたようだったのか眠りにつき直ぐに頭の中をそれがめぐる…


健人「東京って広すぎでしょ!駅の広さだけで田舎町がまるまる1つ入んね…」

東京に初めて来る健人は建物の大きさ、人の多さとか目に映るすべてのものに圧倒されていた。

次は池袋~、池袋 お出口は左側です。

埼京線、湘南新宿ライン、、はお乗換えです!車掌アナウンスが流れる

健人は池袋で待合せをしていた。


ドンっ!

スマホの地図アプリに夢中で通りすがるひとりの通行人にぶつかる健人。

健人「あっ、すみません」

顔を上げようとしたその時、刃物を持つ左手が視界に入る。

健人「えっ…!」言葉が声にならず足が止まり、男はそのまま人ゴミに向かっている。

キャー!!!

一瞬で辺りが騒然となり男が刃物を振り回していた。

目の当たりにした健人は思わず助けに入っていた。

健人「やめろー!」

悲鳴を上げる女性を追いかける男に追いつきラグビーでいうタックルで男を押し倒した。

二人共倒れ刃物が男の手から転げるが直ぐに男が拾い、今度は健人に向かってくる。

そのまま捕まえられてしまった健人は刃物で躊躇無くめった刺しに合う…

キャー!!!誰かー!キャー!

逃げていた女性が叫ぶがその場にいた殆どが離れていて、誰も近寄ろうとはしない…

男は狂ったように手を止める事なく刺し続け、血で水たまりが出来ていた程だった…

男はニヤリとしながら辺りを見回し次の犠牲者を探していた。


又だ、夢か!ルトは夢の中で時計を探していた。惨事が起きている時間を知っておく必要があったからだ。8時25分か…通勤時間帯でも割と早い時間帯だ、まだ駅の警備も薄く犯罪には狙い目だった。


暗闇から聞こえる…

ジリリリリリーン、ジリリリリリーン、ジリリリリリーン、

神家ルト「はっ!」

携帯の目覚ましで起き上がるルト。

夢から覚め、6時に起きていたルトにはまだ時間は十分にあった。

助けなきゃ…

そそくさと着替え10分もたたないうちに出掛ける準備をしていたが、持ち物の中には家の壁内に吹き付ける断熱材ウレタンフォームと外壁塗装などの工事で足場をかけるのだが、それの養生ネットを2m角に切って準備をしていた。現場に携わるルトにとっては容易い事だった。

急がなきゃ!

直ぐに車を出して池袋へと向かった。

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