第4話

佳奈


大学生の佳奈は幼い頃、親が離婚して母親に育てられてきた。母は女手一つだった為、必然的に祖母に面倒を見てもらっていた。祖母は佳奈にとても良くしていて佳奈もおばあちゃん子だった。その頃叔母がよく口にしていた事があった。

祖母「うちの祖先の古くは弥生から伝えられてきたのが予言じゃ。先祖代々語り継がれてきた。最後の時期を昔から予言する者がおり、いつかそれを現実として受け入れなければならない日がくるじゃろう」

佳奈は幼いながらも自分には無下に出来ない何かを感じていた。


今日は日曜日で佳奈は買い物に出るとこだった。いつものコンビニのある交差点で信号待ちをしていた。ルトが見ていた夢のあの風景だ。トラックが勢いよく佳奈の方へ突っ込んでくる、ブォォー

ルト「危ないっ!」

先回りしていたルトが佳奈を抱き掴み間一髪交わし2人共倒れる。

ドォーン!物凄い音をたて建物に突っ込むトラック……暫く静寂が辺りを包む。

ルト「大丈夫?」

佳奈「は、はぃ…」事を目の当たりにした佳奈はブルブルと震えていた。

ルト「無事で良かった…」

佳奈「神家さん…どうしてここに?」

ルト「あっ…話すと長くなるから又ゆっくり話すね!」

佳奈「はい…助けて頂いてありがとうございました。」

佳奈はまだ震えていた。

佳奈「買い物に行く途中だったので、それでは」

ルト「はい、気をつけて行ってらっしゃい」

辺りは消防隊に警察と野次馬でざわついていた。佳奈を見送りルトも現場を跡にする。

少し時間が経ち落ち着いてきた佳奈はルトに対して好意を抱き始めていた。同時に小さい頃の叔母の言葉を思い出した。

佳奈「助けて貰わなければ今頃わたしは…」

そうだ!お礼に何か買わなきゃ。

買い物の約束をしていた佳奈は友達の待つショッピングモールに足早に向かう。

佳奈「ごめんね、ちょっと遅れちゃった」

友達の美里「大丈夫?何かあった」

佳奈「うん…来る途中トラックにぶつかりそうになって助けてもらったの」

友達の美里「えっ!助けてもらった?どうゆう事⁇…」

佳奈は一部始終話した。

友達の美里「助けてくれたのって、どんな人なの?」

佳奈「どんな人って…いい人だよ。

てか、私の心配してよー」

佳奈は頬を赤らめ少し照れながら返す。

友達の美里「いいなぁー、佳奈はルックスいいからよく声掛けられるもんね!」

佳奈「そんなんじゃないって」

満更でもない表情で返す。

佳奈はアイドル並に可愛い容姿に服のセンスも良かった。高校の頃に地元神奈川の田舎町にもかかわらず当時、マクドナルドでアルバイトをしていた佳奈は何度か芸能関係からスカウトの声がある程だった。

時計の針は12時を回っていた。

二人は楽しみにしていたモール内にあるパスタ屋さんで食事をする事にしていた。

佳奈は海老の香りが濃厚なペスカトーレ、美里は生ハム・トマト・バジル・バターのパスタをそれぞれ注文した。

佳奈「わぁー!すごーい海老がまるごと2尾も入ってる」魚介の出汁をベースに海老の風味と磯の匂いとが堪らない。

友達の美里「ほんとだー!いいなぁー、後で交換っ子しよっ」佳奈のパスタが余計に美味しそうに見えた。二人はパスタを啜りながら話題は事故で助けて貰ったルトの事になっていた。自分の家のリフォームに来ている担当で来る途中事故に合いそうになり助けて貰った事を三度話した。

友達の美里「佳奈はどう思ってるの?」

佳奈「えっ…どうって」さっき助けて貰った事でルトの事がかなり気になっていた。

友達の美里「でもその人ってたまたまにしては佳奈の事をよく助けに入れたよね!」

佳奈「うん…それがね、」

友達の美里「何何?」興味深々に前のめりになる美里。

佳奈「あっ、リフォームの事で伝えたい事あって追いかけてくれてたみたいで」

昔おばあちゃんによく聞かされた予言者の事を話かけたが、信じて貰えないと思い話すのを辞めた。

友達の美里「そなんだ、でも良かったね!それなかったら今頃は…考えただけでも怖いね」

佳奈「うん…」又、少し心の隅で震えていた。

友達の美里「どうする?この後」

佳奈「美里、前に気になる香水欲しいって言ってたの見に行く?」

友達の美里「うんうん、そうしよー!」

ルトのお礼の事もあり買い物に行く事にした。

美里はお目当ての香水を買い、佳奈はルトに何を買っていいか分からず結局、美里と同じ香水を男の子が好きそうなバニラの甘さとスパイシーなベルガモットが香るものを選んで買っていた。二人はショッピングモールを後にしてそれぞれ家に帰っていった。

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