第3話 ~驚愕の事実~
・・・須藤さん宅にお邪魔して、時刻は午前11時を回っていた。
私は、(ここまでお邪魔になっていては、須藤さんも困るだろう)と思い、
須藤さんに「すいません、そろそろ帰り道を探さないと・・・。」
と伝えた。
須藤さんは、
『そうか・・・。もう帰ってしまうのか・・・。
いや、こうやって私と一緒で迷い込んだ方とお話をするのは久しぶりでね。
でも、あまり期待せずに探したほうがいいよ。
現に、こうやって10数年ここで帰り道を探した挙句、
ここに住む人間がいるからね。』
そういわれて、私は須藤さんの年齢が気になってしまった。
「こんなことをお世話になった人に聞くのはどうかと思うのですが・・・。」
『どうしたんだい?・・・なに、もしかしたら最後になるかもしれないわけだし、
なんでも聞きなよ。』
「須藤さんって、おいくつなんですか?」
『・・・。』
そこで初めて、須藤さんが困ったような顔ぶりを見せた。
『君の感覚で言うならば、今は、
───19程度かな。』
「・・・え?!」
私は驚愕した。
俺が16だというのに。
十年近く生きていて19とは・・・。
「おいくつの時にこちらに?」
『僕が来たのは、18くらいの時かな。
君は来たばかりで知らないだろうが、
───この世界の時間軸は、少し厄介なものでね。
君らで言う一年が、この世界では30日程度なんだよ。』
「ならばすなわち、十年生きても300日程度しか過ぎていないわけですか?」
『そういうことになるね。』
俺は深く驚愕していた。
まったく俺と一緒に見えるようなこの人が、
まさかの俺の一個上だったなんて・・・。
そっとスマホを確認した。
時刻はちょうど正午を回ろうとしていた。
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