第2話 ~迷い込んだ少年~

 「ここはどこなんだ・・・?!」

俺はそうつぶやいた。


 ・・・いったん状況を整理しよう。

まず、俺は高校に向かおうとして、

7時に家を出た。

そこから、10分ほど歩いていた。そこですでに駅は見えていなかった。

そこで、地図を確認しようと思い、スマホで地図を確認しようとする。

・・・が、画面には「GPSを取得できませんでした」との表示が。

時刻は午前7時20分を示していた。


 ・・・とりあえず、駅に向かうほか手はないな。

とはいっても、駅はおろか、現在地が分からないことには、

どうすることもできないな・・・。

そういって俺は、近くの建物で場所を聞くことにした。


 「すいませーん、誰かいますかー?」

・・・少し待ってみたが、返事はない。

しかし、二階の窓は、中の光を映し出していた。

「・・・居留守か?」


 少し遠いところに、また別の建物があった。

そこにも向かってみることにした。


 「すいませーん、どなたか助けてくださいませんかー?」

少し待つと、今度は人が出てきた。

「すいません、聞きたいことがあるのですが。」

『・・・どなたですか?』

「えっと・・・」

そこで俺は、何と答えればよいかわからなかった。

むろん正直に話せばよかったのだろうが、

何か話してはいけないような気がしたのだ。

『・・・もしかして、『こちらに迷い込まれた』方ですか?』

「・・・?」

俺はその言葉の意味を理解できなかった。

何が言いたいのか、というよりかは、

その言葉の意味そのものを理解できなかった。


 ・・・少し、その人に話を聞いた。

その人曰く、ここは、

俺(まぁ人間の部類)が住んでいる場所(簡単にまとめると人間界)とは、

別次元に存在している世界らしい。

ちなみに、この話をしてくれた方も迷い込まれた人で、

「須藤 竜輝」(スドウ リュウキ)さんという方だ。


 「さっきも、ここと似たような建物に行って、

呼び鈴を鳴らしてみたのですが、人が出てきませんでした。」

そんな話をすると、竜輝さんは、

『あぁ、あそこの家の人でしょ?』

そういって、さっきの家を指さした。

私はうなずいた。

「はい。二階には電気がついていたらしいので、

人はいると思うんですけどね・・・。」

そういうと、

『あそこの家は、もともとここに住んでた人で、

僕らみたいに迷い込んだ人じゃないんだ。

だから、あんまりほかの人と接したくないみたい。』

「そうだったんですね。でも、あんな感じで、

ここの在住者の方が訪れた場合どうするんですかね?」

『まぁ、この一帯は、見てわかる通り、

僕と、あの家の人しか住んでないからね。

そもそも訪れる人がいないよ。』

と言われ、確かにと思いつつも周りを見渡した。


 ・・・それから、また数時間は経過しただろうか。

俺は、須藤さんの家にすっかりお邪魔になっていた。

ふっと気が付き、スマホの時計を確認する。

時刻は、午前11時を示していた。

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