空白の一時間

𝑀𝒶𝓈𝒶

第1話 ~時は唐突に襲い掛かる~

 午前6時半。

体全体で朝を体感している。

俺はゆっくりとベッドから起き上がる。

これは、俺が経験した、『空白の一時間』の物語である。


 「・・・朝、か。」

俺はゆっくりと目を覚まし、そして体を起こしていく。


俺の名前は棚山 健人(タナヤマ ケント)。

今年春から晴れて高校生になったばかりだ。

ちなみに、通っている高校は、

少し小高い山の上に立った、「嵩岡高等学校」というところ。

部活動はサッカー部を予定している・・・って、

一体だれがこんな情報を欲するんだろ。

・・・まあ、こんな茶番をしている間にも、

すでに登校する準備は整った。


 時計を見ると、時刻は午前7時を指していた。

「そろそろ出たほうがいいな。」

そういって俺は駅へと向かう。


 ・・・家を出てから10分程度しただろうか?

そろそろ駅が見えてもいいはずなのに、

むしろ記憶にない建造物しか見えていない。


どういうことだよ…。あれだけ何度も道を確認したのに・・・!


そんな焦りを胸に、俺はスマホに搭載された地図アプリを起動する。

 ・・・?!

そこで俺は謎の減少に陥った。

画面には『GPSを取得することができませんでした』と表示されている。

そんなバカな・・・?!

ここは、都心とはいいがたくはあるが、それでもまだ都市には近いほうだ。

それに、4G回線はアンテナいっぱいに拾っている。

「一体どこなんだ、ここは・・・。」

俺は小さくつぶやいた。

スマホの時計は、午前7時20分を表示していた。

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