#10 戦いと戦い

 「ふう…。」


今日も学校は平和だ。そして今日もいい話し合いをした。生徒会室には午後の暖かい日差しが差し込んでいた。


「これで、あのウイルス事件さえなければなあ…」


佐藤はぼそりと呟いた。


不意に嫌なものが目に入った。

それは期末テストの答案だ。今回も見事に赤点で、担任から再テストを言い渡されていた。


「でもなあ…」


そしてもう一度溜息をついた。


その時、


「ハル?」


隣に座っていた夕丘から声をかけられた。


「どうしたの?ぼーっとして?しかも独り言まで呟くなんて…ん?」


「げっ!?あの…これは…」


必死に隠したが、手遅れだった。

夕丘はたしなめるように言った。


「貴方、前回も再テストだったよね?生徒会の人間がそんなに危機感を持たないでどうするの?」


そして宣言した。


「いい?今度の再テストで合格しなかったら、貴方には生徒会、辞めてもらうわよ!?」


佐藤は何か言い返そうとした。

しかし、その時生徒会の書記が生徒会室に倒れ込んで来た。


二人は即座に駆け寄ろうとしたが、すぐにわかった。


この人はウイルスに感染している…と。


言うまでもなく、二人はサイコロを振った。

今回は、佐藤が片手剣で夕丘がナイフだった。


今回の敵はかなり強かった。途中でナツとリト、サキコとタケヒコも加わったが、そこで彼女は無意識に頭の中で


「絶対、負けたくない」


という言葉を繰り返した。


そして、やっと倒した時だった。誰かが目の前に姿を現した。


「きいた通りの強さね…。この子達を簡単に倒してしまうとは。」


「あ…貴方は誰…?」


「我が名はジュリ。レターズウイルスの開発者の一人よ。」


タケヒコは気合い十分に言った。


「そりゃ都合が良いな。出番も少なかった事だし、もっと戦わせろよ!!」


しかし、タケヒコの攻撃が効く事はなかった。

ジュリは、タケヒコの動きをストップモーションのようにピタリと止めたのだ。


そしてジュリは華麗に去って行った。



その後。


佐藤は見事に再テストに合格した。


「まだまだ、頑張っちゃうぞ!」


しかし夕丘は言うのだった。


「勉強もしなきゃ駄目!!」





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