21:59
君の表情は見ないように
僕が欲しいのは快楽。
身体だけの関係に愛なんか必要なのか?
「愛してるって言って?」
「好きって言って?」
「いまだけは私だけをみて?」
僕はそれに素直に従う。
「愛してるよ」
「好きだよ」
「君しか見えないよ」
いつからこんなに僕は嘘がうまくなったのだろう。
子供の時は嘘をつくなと言われていたのに大人になるにつれて僕は段々と上手くなる。
その場かぎりの嘘を何度重ねたことだろう。
でも僕は求められたことをしているだけで悪いとは思わない。
こんな嘘で幸せを感じている君の顔を僕は見ないように、見えないように抱き締めて頭を撫でる。
ずるい僕を好きな馬鹿な女だ。
僕ははずしていた指輪を薬指にもどす。
それを後ろから見つめる君は何を思っているのだろう。
僕は気づかない振りをする。
気づいてしまったらこの関係は終わってしまうから。
今日も僕は重ねる嘘を考えながら左手で君の部屋のドアをしめる。
乾ききった「愛してる」を残して。
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