Honey sweet lily ~百合の花をじっくりと咲かせましょう~

阿賀沢 隼尾

1. 今日から寮生活を始めました!

「ふふん、ふん」

「今日もユリちゃんは楽しそうだねぇ。学校頑張っておいで」

「ありがとう! おばあちゃん!」

 今日も元気におばあちゃんに挨拶!


 春の太陽が地に恵を与える。

 草木も生物も活気盛んになる時期だ。


 純白のセーラー服に茶色の革鞄。

 薔薇色のリボンを首筋に付け、右胸には『智』の象徴であるフクロウが『純粋』が花言葉である百合の花を咥えている。

 ――――聖リブラン女学園の校章だ。


 墨色のロングヘアに陶器のような透明な肌をした華奢な体の少女。

 背丈は150センチメートルくらいだろうか。


 満開の笑顔でスキップをしながら放牧の草原の道を抜け、帝都マルケドニアの国境へと向かう。

 門番に、聖リブラン女学園の生徒証を見せて中を通してもらい、石畳の上を歩く。


 右手にはきれいな透明な川が流れている。

 また、両側には煉瓦で建てられた様々な色の家が建っている。

 オレンジ、青、水色、緑、黄緑、黄色――――。

 基本、明るい色でこちらの気持ちも明るくなってしまうくらいだ。


「おはよう。今日も頑張ってね」

「はい!」

 町の人たちも明るく話しかけてくれる。


 国境の門を抜け、大きな川を渡り、川沿いに沿って歩いていく、

 すると、目の前に聖リブラン女学園が見えてくる。


「よし! 今日から寮生活だ!! 荷物は昨日のうちに全部運んでおいたし、大丈夫だよね」

 そう。

 実はユリは、二年生の今日から寮生活を始めるのです!


 二年生は強制的に寮生活をさせられる。

 一年生は自由だけれど……。

 今週一週間は基本、寮のお引越し期間。


 寮の仲間と仲良くなろうという事で、今週一週間は学校が休みなのです!!

 やったーー!!


 ―――――――――――――

 というわけで、やってきました。

 聖リブラン女学園の寮です。

 純白の煉瓦で造られたそれは、趣があると私は思う。


 中へ入ると、最初に目に飛び込んできたのは輝くばかりのシャンデリア。

 次に真っ赤な絨毯と白色の壁。


「何か御用ですか?」

 寮監のルイス・マルリーヌ先生。

 マヌ先生の愛称で慕われている。


 二年生の国語の先生だ。

 入るとすぐに寮監室がある。


 ぼんきゅぼんなダイナマイトボディーに、柔らかい子犬のようなたれ目の瞳。

 その身をスーツに包み込んだ姿は、体のラインをくっきりを表していて何とも官能的だった。

 その豊満なおっぱい、断崖絶壁な私の胸と半分分けてくださいと言いたい。


「あの、ユリさん聞いていますか? 早く先日教えた部屋番号を教えてください」

「あっ、はっ、はい! すいません!! 405号室です」

 あううう。

 胸に見とれてしまった。


「はい。405号室ね。はい。無くさないようにしてくださいね。そこの螺旋階段で行っても良いし、エレベーターで行ってもいいからね」

「はい。ありがとうございます」

 ぺこり、とお辞儀をして中央のエレベーターへと向かう。


 上のボタンを押す。

 誰もいない。

 ちょっと、寂しいな。


 4階を押して、中に入る。

 金箔が張られていて、とても高級感がある。

 いや、本当に高級なんだろうけど……。

 さすが、お嬢様学校。


『4階に着きました』

 スゲー!!

 しゃべるよ。

 このエレベーター!!


 エレベーターを出た正面に各部屋番号の地図が張られてあった。

 正直助かるよね。これ。


「なるほど。右なのね」

 回れ右!!


 ここか。

 先生から貰った鍵を鍵穴に掛けたその時――――。


「ユリちゃん?」

 聞き覚えのある声が聞こえてきた。


 振り向くと、そこには一年生からの親友のブラム・バートリーちゃん。


 いつもの銀髪のふんわりロングヘアが綺麗。

絹みたい。

 ルビーみたいな紅色の双眸も好き。


 私はリーちゃんって呼んでいる。

 吸血鬼の血統の一人らしい。


 実は、私とリーちゃんには秘密があるの……。

 でも、それはまたのお楽しみ。


「リーちゃん!! どうしてリーちゃんがここに!?」

「ど、どうしてって……。私もこの部屋だからだ」


 な、なんと!!

 私の隣の部屋!?


 う、嬉しい!!!!

 嬉しすぎて発狂しそう!!


「それじゃあさ、私の部屋で遊ぼうよ!!」

「あ、遊ぶって何を……」


 私は猫なで声にして、

「ほら、いつものやつ」

「し、仕方がない奴だな」


「リーちゃんだってまんざらでもないんでしょ」

「寧ろ、大歓迎だ」

「それならいいじゃん」

 ということは、これからずっとリーちゃんと一緒ってこと!?


 う、嬉しすぎるんだけど!!!!

 きゃーーーー!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る