第50話 ラズベリー狩りに行きました

 デュポン暦2022年7月、ラズベリー狩り当日


 エミリア、ルイス、マッティア、エマは、箒に乗って野山へと向かった。


「野生のラズベリーの群生地を知っているから、採取は簡単だよ」


 マッティアが、紳士な態度でエミリアに話しかけた。ルイスには乙女だとバレたくないらしい。マッティア先頭で、目的地に着き、地面へと降りる。


「山へ入る事もあるのですが、今日はエミリア上等兵もいるので、山の手前で取ります。夢中になって山に入ってしまわないように注意して下さい。ルイス中佐は大丈夫でしょうが、山の中で迷ったり、モンスターもいますから」


 エミリアとルイスが返事をした。


 マッティアが見本のラズベリーを採り、同じものを他の三人も採り、袋へ入れていく。群生して実がなっているので、どんどん採れて面白い。


 気が付くと、エミリアとエマは、ルイス、マッティアと離れた所で、ラズベリーを収穫していた。エマと2人きりになる事はあまりない。エミリアはもっとエマと話してみたかった。


「よくお二人でラズベリー狩りに来るんですか?」


 エミリアはラズベリーを摘みながらエマに話しかけた。


「うん。そうだな。他にも山菜採ったり、アケビや山ぶどう採ったり」


「楽しそうですね!」


「楽しいよ。マッティアの作った山ぶどうジュースがまた美味いんだ」


「わぁぁ。飲んでみたいです」


「じゃあ次は山ぶどう狩りだな」


「良いですね!」


 エミリアはもう一つエマに質問をしてみた。


「二人はパートナー長いのですか?」


 側から見て、エマとマッティアはとても仲の良い夫婦のように見える。


「今十二年目だね」


「長いですね!」


 エミリアはまだ一年半程だ。


「もう定年までパートナーでいられるといいけど」


 エマが遠くでラズベリーを摘んでいるマッティアを見た。


「お二人はお互い信頼しあっている感じで素敵です」


 エミリアはエマに笑いかけた。


「報われないけどねー……」


 エマがふと哀しげな表情をしたように見えたが、エミリアにはよく分からなかった。

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