第48話 露出度高くないわよ! もっとお肌は出しなさい

 土曜日、エミリアは、マッティアとエマの3人で街へ出掛けた。マッティアは私服のスーツをお洒落に着こなしている。エマもスタイルが良く、シャツにパンツスタイルがよく似合う。2人並んで歩くと、とてもお似合いのカップルに見える。


「ちょっとぉ!! この服可愛い!!」


 服屋の前で甲高い声をあげるマッティア。

 せっかくお似合いのカップルに見えるのに……とエミリアは残念に思った。


「エミリア! この服着て! 絶対似合うから!」


「わ、私ですか!?」


 イエローの清楚なワンピース。ノースリーブで、スカートは膝丈。肌触りの良い軽やかな素材の生地だ。


「ほらほら!」


 マッティアに急かされながら、半ば強引に試着を要求される。エミリアはワンピースを着て、試着室から出た。


「やーん!! 可愛いじゃない! 似合ってる!」


 マッティアがまた高い声を出す。


「あぁ、いいんじゃない」


 エマもマッティアの隣で同意した。しかしエミリアは一人気まずかった。


「風が吹いたらスカートがめくれそうですね」


「そんな事考えなくていいのよ! むしろそれがいいのよ!」


「露出度高くないですか?」


「高くないわよ!」


「袖がないと落ち着かないです……」


 エミリアは両腕をさする。


「んもう! ならコレ羽織なさい!」


 マッティアがカーディガンをエミリアに渡した。


「あなたはちょっと芋っぽいから。もう少しお洒落をしなさい! これ着て、ルイス中佐と包丁を買いに行けばいいのよ! あーん、私ってなんていい女なの!?」


 泣き出しそうに顔を手で覆うマッティア。


「落ち着け、マッティー。よく頑張った。でも公共の場で女だと言うのはやめておけ。誰が見てるか分からないぞ、マッティア中隊長」


「はい……ぐすん」


 エミリアは二人の会話についていけず、ただ唖然としていた。



 マッティアは、エミリアに、中級魔術士試験合格祝いに試着したワンピースとカーディガンをプレゼントしてくれた。その他、着回しのきく服を2、3着選んでくれて、そちらはエミリアが自分で購入した。エミリアは、春夏用の新しい服を買いに行きたいと思っていたので、マッティアとエマがショッピングに付き合ってくれて嬉しかった。その後、3人でおしゃれなカフェでランチをして、主にマッティアの恋バナで盛り上がった。


「彼氏は中央のアドゥマン師団にいるの。なかなか会えなくて遠距離恋愛よー。まぁエマがいるしー、もう慣れて寂しくはないけどぉ」


「聞きたくないだろ、マッティーの彼氏自慢」


「ちょっと何よぉ、エマ」


「……ケーキ美味しいですね」


「あ! 話ずらしたわね、エミリア!」


 盛り上がってマッティア本人は気付いてないのだろうが、声が大きい為、先程から周囲の客がちらちらとこちらを見ている。幸い、女性客ばかりで、軍関係者はいそうにないが。


「2人共、彼氏が出来たら教えてよねー。ねー? エミリア」


 マッティアの目が光る。


「私は無理ですよ……」


「あら、悲観的ねぇ」

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