第9話 初任務です③

『隊長! 無事ですか!?』


 ルイスの襟元の通信機から声が流れる。


「無事だ。ミノタウロスを始末した。出口を作れるか?」


 ルイスは平然とした声を発する。


『はい! しばらくそちらから離れていて下さい!』


 通信機が切れた後、塞がれた通路が魔法により開かれた。


 閉じ込められた場所から外へ出ると、他の軍人達が待機していた。よく見ると負傷者が多い。ルイスも負傷して、体のあちこちから流血している。


「今、回復魔法かけますね」


 エミリアが慌てながら言った。


「いいよ、衛生兵にやってもらうから。お前、魔力相当使い果たしてるだろ」


「大丈夫です。まだまだできますから」


 エミリアは回復魔法を唱えた。翠色の光が隊員達を優しく包み込み、その場にいる全員を素早く治癒した。


「お前……魔力使い過ぎて倒れるぞ!!」


 ルイスが声を荒げる。


「あ、あの、本当に大丈夫です! 学生時代はもっと大勢治癒してましたし」


 そうエミリアが言うと、ルイスを含むその場の隊員達が、驚きの顔をした。


 夕方に差し掛かった頃合い、ダンジョンのボスだったらしいミノタウロスの報告が終了し、隊員達は箒で撤収を始めた。


「あ! 待って! 下さい!」


 エミリアはつい隣にいたルイスを呼び止めてしまった。

 この時間から、流石に徒歩で師団に戻るのは危険だ。どうすればいいのか、指示が欲しい。


ルイスは、辺りを見渡したが、周囲にいた隊員達はすでに飛び立っている。

 彼は、眉間にシワを寄せ、不本意に言った。


「……乗れよ」

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