第10話 初任務です④

 翌日


 珍しくルイスは訓練学校にいるロミオを訪れていた。どうしてもロミオに言ってやりたい事があったからだ。


「……あいつ、箒だけでなく、攻撃魔法も使えないらしいな」


 ルイスは眉間に皺を寄せる顔が定着してしまっている。


「下手とかでなく、全く使えないらしいじゃねぇか」


 職員室で弁当を食べているロミオに詰め寄る。


「でも凄いでしょ。防御と回復。昨日はだいぶ助けられたでしょ?」


 ルイスの圧に今更ロミオは動じない。二人はお互いに気心が知れた仲で、ロミオはルイスの扱いをよく分かっている。


 ルイスは言葉に詰まった。


 エミリアの魔法は完璧だった。さらにミノタウロスが最期に放った火炎を防御魔法で防いだのは、戦闘が初めての新人にしては、良くやったと思う。


「攻撃特化なルイスにぴったりだね」


 ロミオが笑顔で言う。


「俺はいらん! こんな大事な事、黙ってやがって。箒に乗れないのに箒兵部隊って……毎度、俺の後ろに乗せろって事か?」


「まぁ、そうなるよね」


 あっけらかんというロミオに対して、ルイスは青ざめた。


 頭が痛くなりそうだ。


「衛生隊に入れときゃいいのに。いきなり第1箒兵部隊なんて死ぬぞアイツ」


「僕に言われても困るねぇ。しかしそう言うならルイ、誰か適当なパートナー付けといたら良かったのに。そしたら中将もこんな暴挙に出なかったかもよ?」


 軍人はパートナーと2人1組で職務遂行することとなっているが、ルイスには長らくパートナーがいない。彼はパートナーを作る事を酷く拒絶しているのである。


「俺はパートナーなんか要らない」


「いつになったら変わるのかね、その考え」

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