第64話 親愛なるエミリアちゃん♡

 デュポン暦2022年 10月中旬


 エミリアは机の上を照らす電気をつけてルジェクへ手紙の返事を書いた。



《 ルジェクさんへ》

 先日は合同演習で大変お世話になりました。リパロヴィナのおいしい料理とお城の観光、とても楽しかったです。アーデルは広いのでどこを巡るかでおすすめの場所は変わりますが、首都ボーデでしたら、歴史的建物、美術館、マーケット、色々ありますよ。是非、アーデル観光楽しんで下さいね。

 エミリア



 手紙の返事はすぐに来た。



《 親愛なるエミリアちゃんへ》

 早速おすすめを教えてくれてありがとう! 首都の方だと、東部からは結構移動に時間が掛かるかな? エミリアちゃんと落ち合うことのできる範囲で見所がある都市だと、どの辺りになる? 折角だし案内してもらえたら嬉しい。勿論、食事はご馳走するよ!



 ルジェクにはルイスの事が好きだと伝えているのに。友人として会うなら嬉しいが、これはきっとデートになるから断らなくてはいけない。エミリアは「忙しくて会うことができません」と、お断りの手紙を出した。だが何故だかその後も手紙のやり取りが続いてしまい、気づくとエミリアの冬季休暇に合わせてルジェクはアーデルランドに二泊するらしく、二日続けて二人で会うことが決定した。



 12月。エミリアは本部へ向かい、ルイスに質問をした。


「あの……冬季休暇の日程決まりましたか?」


 書類作成していたルイスが顔を上げ、エミリアに渋い顔をした。


「クリスマス? 休みたいの?」


「いえ、クリスマスは仕事がいいです」


「同感だ。と言っても、クリスマス休みたがる奴多いから、俺らは仕事だけどな」


 ルイスもクリスマスは仕事がいいという事を知り、エミリアはホッとした。


 結局、冬季休暇は一月中旬に決定。駐屯地から一時間半離れた市街地リュミヌで、エミリアはルジェクと会うことになった。

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